社会
「解雇は不当」アパレル元店員に顧客も支援
アパレルで働くアルバイトの現状を訴える岩上愛さん。元の顧客もビラ配りを手伝う=神戸市中央区 |
若い女性に人気の「ゴシック・ロリータ」と呼ばれるファッションを販売する神戸・三宮のアパレル洋品店で、アルバイトをしていた女性が「解雇されたのは不当」と、同店の本社を相手に撤回を求める労働審判を神戸地裁に申し立てた。「これまで、労働条件に疑問を持ったことはなかった」という女性を、顧客だった女性らも支援。奇抜なファッションでビラ配りに立つなど、社会問題化している不安定な雇用や労働条件に、若者がアクションを起こしている。(高田康夫)
神戸市灘区の岩上愛さん(22)。アパレル会社「ベイビー ザ スターズ シャイン ブライト」(本社・東京都)の三宮店で、昨年一月からアルバイトとして働き始め、九月からは、フルタイムになった。しかし、社会保険庁内款で、正社員並みに働くアルバイトにも加入が義務付けられている社会保険に入れてもらえず、規定の勤務時間以上に働いても、その分の時給は支払われなかったという。
申立書などによると、店長と岩上さんを含む店員三人の間でトラブルがあり、昨年十月、岩上さんらは「このままではみんな辞めてしまう」と社長に訴えた。約一カ月後、何も変わらないことに怒った別の店員が「三人とも辞めます」と社長に伝えた。岩上さんは後日、辞める意思がないことを表明したが同年十二月、店長に就労を拒否されたという。
個人加入の労組に入った岩上さんは団体交渉を重ね、賃金の一部未払いなどは認めさせた。解雇についても、過去の判例を根拠に「合理的理由がなく社会通念に照らして認められない」と主張したが、同社は「労働契約の合意解約である」とし、交渉は決裂した。
問題を知った顧客ら約三十人は、ビラ配りするなど支援に乗り出した。「自分の好きな洋服を売っている会社が、そんなひどいことをしているとは」との思いからだ。岩上さんは「一見、華やかなアパレル業界の現状を訴えたい」と話す。
一方、同社の代理人弁護士は「申立書が届いていない。労働審判で対応していく」としている。
(7/23 14:03)
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