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2008年7月24日

 「記事の材料に困ったら動物園へ行け、何か話題が転がっている」と昔の記者は冗談半分に教えたそうだ。今回は動物園の方からネタが転がってきた。チンパンジーが脱走し、あわれ麻酔銃の的になった

「動物園の動物はかわいそう、と言われたらおしまい」。人気の旭山動物園の小菅園長が金沢で話した一言を思い出す。確かに、狭い檻(おり)でもがくクマや鎖でつながれた象などかわいそうな動物が少なくない

小菅園長の発想はユニークで、檻は動物を閉じこめるのではなく人間から守るためにあるという。で、動物が最も本能を発揮できる装置を作った。天敵も飢えも知らない環境が野生の天国かどうかは別問題だが、猛獣がかわいく見えるという

「人間=凶暴につき注意」の看板付きの檻が動物園にあるとのジョークが有名だ。人が人を襲う事件がこうも続くと冗談が冗談でなくなってきた。自制心の鎖が切れ、命を尊ぶ本能が壊れている。環境や他人のせいにするが動物以下の環境ではあるまい

人間を人間から守る優しい鎖や厳しい檻を作り直さないと、この荒野は果てしなく広がるように思える。


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