精神科へ通い始める理由は、患者さんによってそれぞれ異なるだろうと思います。
だいぶん敷居が下がった印象もあるけれど、やっぱり精神科へ初めて来ていただくときには
かなりドキドキしながら外来の門をくぐられるのではないでしょうか?
前も書いたけれど、初診は患者さんにとっても私たち精神科医にとっても本当に大切なものだと思います。
初めて会う者同士、初診の短い時間でお互いの事情を伝え合って。
患者さんが受診に至った経緯を聞かせていただくのはもちろんですが、それに対して私たち精神科医が
どう思ったか(診断とか、診断までいかなくてもどういう状態だと考えたか)とか私たちがそれぞれの勤め先で
どんなことができるのかといったことをお伝えすることも大事。
初診の時点で、治療の方向性やプランをある程度提示しないといけないと思うのです。
初診だけで情報が足りずに方向性を決めることができなければ、「まだ判断できないので次回も引き続き
お話をいろいろ聞かせてください。それから治療を組み立てましょう」と正直にお伝えしたってもちろん
かまわないと思いますが、大切なことは治療の早期からその患者さんの治療の目的を決めること。
なんとなく通い始めて、なんとなくお薬を飲むことになって、なんとなく治療が進んで、…
そのうち通院のきっかけになった症状はおさまってきたとしても、人生そのものに何の悩みも不満もなく
生きているひとなんてほとんどいないだろうし、やがては初めの主訴とは全然関係のない日々の悩みを
診察室で愚痴のように語るようになったり。
そんな答えのない日々の悩みに普通の精神科診療が有効なはずもなく、主治医もうまく介入が
できないままただ悩みを聞くだけになって。
それがあたりまえになってくると、患者さんのほうも定期的に主治医の元を訪れては日々の悩みを
主治医に聞かせることが通院の目的になってきて、悩み自体が解決しないことにはあまり疑問を
感じなくなっていく。
治療終結のタイミングはもう完全に失われている状態…、
こういうケースって意外と多いんじゃないのかな、と思います。
…後日へ続きます。
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