【長楽(中国福建省)=西村大輔】日本向けウナギの養殖場やかば焼き加工工場が集中する中国福建省の業界は、日本からの注文激減で悲鳴を上げている。「業界存亡の危機」との声も上がる。
かば焼き輸出量が中国最大の福建省。中でも長楽市は屈指の産地だ。豊富な地下水と温暖な気候が養殖に適し、各所に養殖池が見える。
長楽ショウ(さんずいに章)港演豊養殖場は昨年、日本向けのウナギを加工場に約100トン出荷したが、今年はわずか20トンしかない。金塘養殖場は、昨年約80トンあった日本向けのウナギを断念し、欧米や国内向けに別種の大型ウナギの養殖を始めた。
日本向けの検査は厳しかったという。輸出入検査検疫局が毎月、養殖池の水質やウナギを検査し、禁止薬物の有無を調査する。金塘養殖場の王則亮・場長は「味も安全性も日本に負けない」。
同省福清市にある加工会社、福清斎翔食品は01年に約4千トンだったかば焼きの出荷量が今年は1千トンを割り込む見通しだ。生産ライン2本のうち1本は去年から止まったまま。原油高騰や人民元高など輸出に不利な状況も続く。
章寧軍社長は「中国産食品のほとんどは安全だが、0.1%の悪質な企業のために全体が影響を受けるのは不公平だ」。