2008年07月22日

仕事してるってばよ

 もうこれ以上余計なことやってらんねえ。
 ここ二・三日原作放ったらかしてんだ。
 作画に時間取れねえ。
 落としたら完全におれのせいだろうが。
 
 後ここ見てる奴、編集部に連絡すんのよせ。
 なんでこんな時だけ素早いんだよ。
 
 仕事放ったらかしてどうにもならねえよ。
 何があったってこちとら原稿落とすわけにゃいかねえんだ。
 
 おれはクズ野郎だけどな、やることはちゃんとやるんだよ。
 お人好しが余計なことに首突っ込んで。バカみてえだ。
 もうとっととブログ閉じて仕事戻れ。

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 面白がって見に来てるのがいるみたいだが、中身はちゃんとしてる。
 そうそう簡単に潰れるか。
 
 
posted by 藤栄道彦 at 13:10| Comment(71) | TrackBack(0) | 日記

2008年07月21日

雷句さんの訴訟に関連して(3・完結)

 変にセンセーショナルな文章を書いてしまい申し訳ありません(笑)
 自分でもわかっているのですが、なかなか直りません。
 文章を書く感覚も漫画といっしょなもので。
 今後は慎みます。
 
 ここからは真面目に書きます。

 以前ご質問された「橋口さんのブログは本物なのか?」「FAXは本物なのか?」ですが、電話で確認しました。
 ブログは橋口さん本人が書いたそうです。
 消した理由はいろいろあるみたいです。

 FAXは本物であるとは言えません。
 「本物」と言ってしまうと、「誰に聞いて本物なのか、それは誰がどんな責任で本物だと言っているのか」という話になってしまうためです。
 私個人の考えとして、本物じゃないかなあ……くらい。
 また雷句さんの方にも都合が悪いんじゃないかなあ……くらい。

 次にもともとの疑問だった「雷句さんの陳述書になぜ無関係の『冠さん』の名前が出て非難されているのか」です。
 この陳述書、驚くほど狡猾にできてるんです。

 もともと陳述書というのは何を書いても良い、極端に言えばデタラメでもいいんだそうです。
 それは裁判所に提出するものだからで、今回のようにネット上に公開すると言うのは極めて異様なケースだそうです。

 で、問題の部分がこちらです。

 『○○先生が、自分の描きたくないストーリー展開に抵抗すれば、「死ね!3流漫画家!」と、作画中に電話で罵倒され、後半はそれに対する○○先生の抵抗もつらくなり、冠茂氏の言うまま描くも、お話を無茶苦茶にされ、人気も上がらず、最後引っ掻き回したお話を収集しないまま、別の編集者へ担当を変え、責任も取らず冠茂は逃げる。○○先生はその引っ掻き回したお話を収めるだけで初の週刊連載を終わる事に・・・
  このお話は当時の○○先生が何度か自分の所へと相談に来ていたので、覚えている話です。本当に「道具」扱いである。』

 やっぱり、名前は伏せることにしました。

 ご存知の通り、雷句さん側は今回の原稿紛失騒動をサンデー編集部全体の体質の問題として扱ってます。
 そのためにはご自身の担当者だけでなく、「他の編集者もこのように横暴ですよ」という例を示す必要があるわけです。

 で、私はなぜここで今後立場が悪くなるかもしれないのに、自分の弟子の実名を挙げたのか。
 なぜ冠さんが出て来たのか、これがわかりませんでした。

 ここまではいいでしょうか?

 もし仮に冠さんが「虚偽の事実を公表された」として事実関係を争う場合、この○○先生・週刊文春には勝てるかもしれません。
 しかし雷句さん側はこの陳述書の中でただの伝聞、しかも○○先生の話として扱っているため、ここまで書かれても勝つのは難しいだろうという話でした。
 名誉毀損というのはそれくらい厳格な定義が必要なんだそうです。

 それで納得できました。 
 
 おそらくこの陳述書の中でもっとも横暴な編集者像が、捏造してもまったく火の粉が雷句さん側にかからない部分で描かれているんです。

 ネットでの陳述書公開、オークションでの原画価値の判定などと合わせ、これは雷句さんの頭から出たものではないのではと思います。
 雷句さんの弁護人の戦略なのではないでしょうか。

 で、冠さんとは実に七年ぶりに電話で話しました。
 ○○先生の言っている内容は全くの虚偽という説明をされました。
 ○○先生の起用に関して、当時の私の記憶と食い違いもあったようです。

 私はこれで十分です。

 ですが、納得できない方もいると思います。
 情報はいろいろとれたのですが、裏付けをするのが難しい。

 それで、私の聞いた情報を裏付ける事実で示そうと思います。

 なぜ冠さんだったのか?
 それは○○先生の担当が、たまたま冠さんだったからです。
 なぜ○○先生だったのか?
 ○○先生しかいなかったからです。

 なぜいないのか?
 雷句さんの弟子筋にあたるスタッフは、サンデーにまだ大勢います。
 そんなにひどい編集部ならば、なぜ崇高な目標を掲げた師匠に続いて立ち上がる作家が続々と出てこないのでしょうか?
 
 私は冠さんが職場でまずい立場に追い込まれたのではと心配していました。
 しかし、そうはなっていないそうです。
 漫画家・編集者・アシスタント・皆、実情を知っているからです。

 雷句さんの人物像は、今後の裁判で明らかになっていくと思います。
 明らかにはできませんが、陳述書との差異も聞けました。
 雷句さんの仕事場出身の作家さんやスタッフも、要請があれば出廷するそうです。

 私の立場ですが、ほんのわずかでも雷句さんを讃えないで良かったです。
 雷句さん側のやっていることは、漫画界のためなんかではありません。

 日記でこの話題を扱うのは最後にしますが、ほんの数日この日記を書いただけで、信頼できる人達が身近にいることがわかりました。
 良かったです。

 ただ、これでもう冠さんが小学館にいるかぎり一緒に仕事はできなくなりました。
 個人的な信義での擁護が、どうしたって「仕事欲しさの擁護」ととられますから。

 これからは仕事に集中します。

 多少は質問にお答えしますけど。
 

 
posted by 藤栄道彦 at 03:48| Comment(13) | TrackBack(0) | 日記

2008年07月20日

私だけが知っている

 もともとこのブログで冠さんを擁護したのは、お世話になった担当さんへの個人的な信義によるものです。
 自分のやってることがいいのか悪いのか試すつもりでした。
 コメント欄を試しに解放していたのもそのためです。
 袋だたきになってみるつもりでした。

 やってみるものですね。
 きちんとその信義に応えてくれる人は出て来る。
 全てわかりました。
 今はなんでも答えられます。

 私は現在サンデーとも小学館とも何も関係がありません。
 ただ、個人的な信頼でここまで情報を提供してくれる人が出て来てくれたことを嬉しく思います。
 間違っていませんでした。
 
 なぜあの陳述書で冠さんの名前が出て来たのかもわかりました。
 ただの勇み足なのかと思ってました。
 そんな理由だったとは……。

 さて……どうしたものか……。

  
posted by 藤栄道彦 at 01:30| Comment(13) | TrackBack(0) | 日記

2008年07月19日

ご意見・ご感想・ご質問

 アドバイスに従い、メールによる投稿に切り替えることにしました。
 SOUさん、ありがとうございます。

 こちらのアドレスの☆を@に変えて送って下さい。
 michihiko-touei☆hotmail.co.jp

 コメント欄を承認制にしてみましたが。
 なにやらうまく書き込めないような。
 
posted by 藤栄道彦 at 10:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2008年07月18日

雷句さんの訴訟に関連して(2)

 先日のコメント欄で、週刊文春の記事についての意見を尋ねられました。

 『”他にも作家を抱えていた担当者は『お前と打ち合わせしてる時間はねーんだよ。この通り描いとけ』と毎週ストーリーをファックスしてきた。
  展開がおかしくなったので一度『嫌です』と反発したら、このセリフ(=『死ね、三流漫画家』)です。
  結局、収拾がつかなくなって、連載は不本意な形で終了しました」”』

 私は文春を読んでいませんから、コメント欄から抜粋しておきます。
 陳述書と合わせれば誰だか容易にわかりますが、やはり「若手漫画家さん」としておきましょう。
 作品は週刊少年サンデー2004年38号 - 2005年22・23合併号まで連載されたもののようですね。

 当時は私はもうサンデーを離れていましたので、橋口さんの所のアシスタントさんからの伝聞でしか冠さんの様子は把握していません。
 
 まず最初にはっきりさせておきたいのですが、この一件も冠さんも、雷句さんの原稿紛失には何の関係もありません。
 陳述書の中で「良い噂を聞かない」と表現している通り、雷句さんは冠さんと面識もおそらく無いのではないでしょうか?

 その上での私の意見ですが、こちらはあくまで一般の人にも理解してもらえるように書いておきます。

 ○当時「若手漫画家さん」が冠さんにどんな態度で接していたのか。
 ○どんな風に仕事を進めていたのか。
 ○FAXというのはどんな内容が書かれていたのか。
 ○件の発言はどんな会話の流れで出て来たものなのか。

 これがわからないとなんとも言えません。

 図式が漫画家対編集者・編集部の構図になってしまっているため、どうしても漫画家が一方的に被害者という構図で見られがちです。
 この質問をしてくれたかたは優しい人のようですしね。
 
 しかし私は98〜99年のネット上の自分の日記でサンデーの編集さんを悪し様に罵っていた作家(現在廃業)、この人がアシスタントに恒常的に殴る蹴るの暴力を振るっていたのを知っています。
 一方的に作家の味方をするつもりにはなれません。
 ちなみにこの編集さんとも顔見知りです。

 2004年当時のサンデーでは「ファンタジー厳禁」の風潮がありました。
 そこで新人の「若手漫画家さん」がこの作品を始められたのは、おそらく「ワイルドライフ」「ジャぱん」の実績がある冠さんが編集部サイドに強力にプッシュしたからでしょう。
 「絶対にうまく行く」と話していたそうです。
 私が話せるのはここまでですね。

 ここからはおそらく理解してはもらえないでしょうが、プロとしての意見です。
 
 プロは結果が全てです。
 自分で立ち上げた企画だろうと、原作つきだろうと、編集部の押し付けた作品だろうと、ひとたび仕事を引き受けたら間違いなく締めきりに原稿を上げ、アンケートできっちり結果を出さないといけません。
 「担当さんが非協力的だった」
 「ストーリーを押し付けられた」
 「ひどい言葉で罵られた」
 「体調が優れない」
 いずれも何の言い訳にもなりません。

 言いなりに描くのが嫌なら、自分で好きなように描いてきちんと結果を出せばいい。
 自分の描く物に「面白い」という確信があれば簡単です。
 アンケートで1位・2位とれば誰も文句は言いません。 

 橋口さんと冠さんが立ち上げた「焼きたて!!ジャぱん」がなぜ最初に五週だけ連載されたのか、知ってる方はおられるでしょうか?
 私の知っている作家さん達は、皆そんな世界で闘っていました。
 「若手漫画家さん」だけが特別ではありません。

 プロの立場から意見させてもらえば、「若手漫画家さん」の連載が不本意な形で終了したのは100%本人の責任です。

 自分の所のスタッフが独り立ちするのは本当に嬉しいんです。
 去年やっと一人送り出せた私にもよくわかります。
 飛んで行って仕事を手伝ってあげたいくらい可愛い。

 連載が短期で終わってまえば、どうやって慰めていんだろうと思います。
 「自分の教えかたが悪かったのか」とさえ思います。

 しかし私は「次、頑張りなさい」としか言っていません。
 自分の力不足を他の何かのせいにするようになったら、その子はもう本当に終わってしまうからです。
 どんなに可愛くても、ここを間違えてはいけません。

 私の親父は癌で亡くなりましたが、親父が最期に会っておきたいと言う時に合ってやれませんでした。
 原稿を描いていたからです。
 コンシェルジュの17話でした。

 仕事を終えてやっと駆けつけた時、親父はもう意識が無かったです。
 睡眠時間を削り、栃木と千葉を往復しながら描いた一本でしたが、締切にも間に合わせ、アンケートでもきちんと結果を出しました。
 
 原先生、北条先生、バンチ編集部は親父の葬式に大きな花輪を送ってくれました。
 私は自分が特別なことをしているとは思いません。
 原先生が失明を覚悟して原稿に向かっているのを知っているからです。

 「(担当編集者のせいで)結局、収拾がつかなくなって、連載は不本意な形で終了しました」

 誰が言ったか知りませんが、こんな情けない言い訳を聞いたのは初めてです。
posted by 藤栄道彦 at 17:30| Comment(24) | TrackBack(0) | 日記

2008年07月17日

仕事開始

 次回は雑誌の表紙があるので、さっそく作業開始です。
 ……なんか原稿渡したばかりのような気がするのですが、仕方ありません。
 雷句さんの訴訟に関する話題はまたいずれ。

 雑誌の表紙は作家が自由に描けるわけではありません。
 まずデザイナーさんから指定が来て、ラフを制作。
 本格的に取りかかるのはそれからになります。

 懸命に働いてはいるのですが、このふた月収入と支出が見事にトントンです。
 赤字にならない分マシなんですけどね。

 ドリフのDVDが届きました。

 2008716.jpg

 初回特典で「全員集合」の台本がついてました。
 実に簡単な作りです。
 あの緻密なコントを、よくこんな台本でやっていたなあ。

 ドリフのメンバーは当時「通し稽古が嫌で嫌で仕方なかった」と話していました。
 でもおかげで当時の私の人生は豊かでした。
 私もその分、誰かを豊かにしてあげないと。
 
posted by 藤栄道彦 at 22:43| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記

2008年07月16日

雷句さんの訴訟に関連して(1)

 私の少年サンデー当時の担当編集者、冠さんの好意的な話題をほんの少し出しただけで批判的なコメントを残して行く方がおられます。
 その気持ちは理解できます。
 雷句さんが意図したことではないのかもしれませんが、「漫画家対大手出版社」の図式が出来上がってしまったため、義憤に駆られた人達がそういった行動に出るのは仕方が無いことだと思います。
 関心も高い問題でしょうし、こちらも予想はしていました。
 
 ただ、お世話になった編集さん、それも今回の一件に何の関係もない編集さんが実名で攻撃されているのはやはり見過ごせません。
 私は個人的な信義で冠さん個人を擁護しているだけです。
 
 コメントでも書きましたが、私は松浦聡彦さん、橋口たかしさん、猪熊しのぶさん、菊田洋之さんのところでご一緒に仕事をさせていただきました。
 高島さんは当時の菊田さんの担当、冠さんは橋口さんの担当で私のサンデーでの最後の担当編集者です。
 林さんは当時まだデスクだったと記憶しています。

 そして雷句さんの仕事場に行ったアシスタントさんからも直に話を聞きました。
 
 また冠さんと組んで読切を二本仕上げ、仕事ぶりも実際に体験しました。
 当時の編集部がどんなふうに動いていたのかも知っています。
 
 そして私は現在コミックバンチの作家であり、小学館と何のしがらみもありません。
 かなり私は正確に状況を把握していると思うのですが。

 誤解は情報の不足と偏りから生まれます。
 「雷句さん」「サンデー編集部」どちらか一方を妄信するのではなく、もう少し公正な視点で判断してもらいたいと思ってこのプログを書いています。 
 そのために、私にわかる範囲・できる範囲で質問にはお答えするつもりです。

 当時の冠さんのエピソードですが。
  
 まだ新人時代、小学館のサンデー編集部に打ち合わせに行きました。
 編集者に名前と用件を伝え、冠さんを呼んでもらったのですが外出中らしく、打ち合わせ用のブースで待つことになりました。
 
 30分・1時間……冠さんは表れません。
 偶然通りかかった高島さんが会釈して通り過ぎます。

 2時間くらい経ったでしょうか。冠さんが通りかかり、びっくりしました。 
 「あれ!?いつ来たの!?」
 
 どうやら用件を伝えた編集者が、ほったらかしてそのまま出かけてしまったようです。

 「本当にごめん、こんなことはもう無いようにするから……。」と、冠さんは頭を下げました。
 当時何の実績も無い新人だった私にです。

 その時の冠さんは申し訳ないというより「なんでこんないいかげんな対応をするんだ」と悔しそうな表情をしていたのが印象に残っています。
posted by 藤栄道彦 at 23:52| Comment(13) | TrackBack(0) | 日記

2008年07月15日

止まらぬ物欲

 琴欧州は序盤で二敗。
 まあ連続で優勝は無理だろうとは思ってましたが、不甲斐ない。
 終盤まで興味を保たせて欲しいものです。

 AmazonでDVDをチェックしていると、欲しいものがいっぱい見つかって困ります。

 7E15.jpg

 「木枯し紋次郎」、DVDで観たらすごい奇麗なんだろうなあ。

 世の中には「すごく良くできた失敗作」というものがあります。
 私の評価ですと「江戸の激闘」、「斬り抜ける」そして紋次郎の続編「新・木枯し紋次郎」がこれにあたります。

 「新・木枯し紋次郎」は脚本はすばらしい。
 良く練られており、今これだけのものが書ける脚本家はいないでしょう。
 しかし、テレビドラマで放送するにはあまりに複雑すぎます。
 
 例えば物語冒頭で伏線を張っても、見終わる頃には視聴者は忘れてしまいます。
 登場人物の人間関係もよく作り込まれているのですが、ために理解するのにちょっと苦労します。
 
 小説で使う技法をそのままテレビの脚本に持ち込んでも、良い出来にはならないんですよねえ。
 小説ならストーリーに詰まった時読み返せますけれど、テレビはそうは行きませんから。
 
 我々は受け手を楽しませてナンボの商売です。
 作るべきは「商品」であって「作品」ではないのですが、無意識に「作品」を作ってしまう場合もあるから難しいですね。

 ちなみに私のナンバーワン時代劇は、単発の番組ですと「おしどり右京捕物車」です。
posted by 藤栄道彦 at 23:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2008年07月14日

半人前日記54話終了

 やっとこさこれで今クールの仕事は終了です。

 14.jpg

 「半人前日記」はケータイバンチで配信中ですから、ぜひ見て下さい。
 http://www.shinchosha.co.jp/k-taibunch/

 最近、新企画のためにいろいろと昔の作品とかを引っ張り出しているせいか、サンデー時代のことをいろいろと思い出します。
 企画会議に回した読切のネームに、編集さんの散々なコメントがついて返って来たりしましたしね。
 ちゃんととってあります(笑)

 でも厳しいことを言われるのは、それだけ期待されていると考えないといけません。
 実際はどうあれ、作家はそういう姿勢で臨むべきでしょう。

 まだ投稿を始めたばかりの頃(23歳くらい)、当時の担当さんにこんなことを聞かれたことがあります。

 「読者から見て、今のサンデーってどう?」

 私はこう答えたと記憶してます。

 「安易な他誌の後追いはやめるべきだと思います。」

 当時のサンデーは他誌でヒットしたジャンルの後追いとか、人気作に画風や作風が似ている新人を起用する傾向が目立ち始めてました。
 読者としてはそういうことをやっている雑誌は当然、レベルが低く映ります。
 雑誌のブランドイメージを低下させるようなことは、長期的に見て決して好ましいものではありせん。

 その担当さんは少し意外そうにこう答えました。

 「読者が見たがっているもの載せて何が悪いの?」

 「読者が見たいと思っているもの」
 「読者に見たいと思わせるもの」
 この二つは似ているようで微妙に違います。

 創り手が目指さなければいけないものは当然後者のはずです。
 前者には創り手の主体性がありません。
 創り手が自分たちの方向性を見失って、読者におもねるだけの作品は薄っぺらなものにしかなりません。

 そんな作り方をしていれば、当然雑誌はふらふら迷走を始めます。
 しかし当時はジャンプが大幅に部数を減らし、その読者が一時的にサンデーに流れ込んで来た状況で発行部数は伸びを見せており、編集部に危機感は全くありませんでした。
 
 それから10年以上経ちましたが、いまだにサンデーはこの頃の方針から抜け出せてないように思います。
 それはその「二番煎じ」の作品が大きな利益をもたらして来たからです。
 
 いくら利益を上げても、そういった作品の売り上げは言ってみれば借金と同じです。
 雑誌の信用を下げ、新人作家に軽蔑されるような作品を中核に据えるのは長期的に見て決して得策ではない。

 そんな話をサンデーでの最後の担当さんとしていた記憶があります。
 しかし、長年続けて来た編集方針はそう変わりません。
 新しい作家・新しいジャンルの作品に編集部の反応は常に悪かった。

 「君を起用しても売れるかどうかはわからないけれど、ベテランを使えばどんなつまらない作品でもコミックスは五万部・十万部、間違いなく捌けるからねえ。」

 これはその時私がその担当さんから聞いた言葉ですが、侮辱的な意味ではなく、そういう理由で新人の起用に二の足を踏みがちな編集部を嘆いての言葉でした。

 「う〜ん」と二人で考え込んでしまったものです。

 その担当さんはこんなことを主張していました。

 「努力賞に及ばなかった選外佳作にプレゼントされる原稿用紙を廃止し、千円・二千円でも良いから賞金を渡すべきだ。
  例え金額が少なくても、お金を手にすることで新人のプロ意識を目覚めさせてくれるはずだ」

 と。
 
 なるほど、と感心しました。
 その人は雷句さんの騒動で渦中の冠さんです。

 「うちは今タイガースと同じでね。
  世代交代がまったくうまくいってない……。」

 そう苦笑いしていました。
 
 タイガースは復活しました。
 しかし、サンデーが復活するときは来るのでしょうか。
posted by 藤栄道彦 at 23:56| Comment(24) | TrackBack(0) | 日記

2008年07月13日

丸一日寝る

 「半人前日記」のアイデアを考えていたらいつのまにか寝てしまいました。
 長時間起きていたあとは、眠っても二・三時間くらいで目が覚めてしまいます。
 昨日も8時に寝て11時には起きてしまいました。
 そうかと言って起きていると不意に睡魔に襲われます。
 
 毎月の仕事はこの「半人前日記」が終わってやっと一段落です。
 ここで気を抜かないようにしないといけません。
posted by 藤栄道彦 at 22:39| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記