削られたような落書きが多数ある延暦寺の文殊楼=大津市坂本本町
落書きされた原爆ドームの壁。現在は消されている=01年12月、広島市中区
世界文化遺産に登録されている建物の築地塀に今春、落書きされた=京都市内
天龍寺(同)も、山門などに落書きを見つけたら職員がすぐに消す。栂承昭(とがじょうしょう)・宗務総長は「落書きを放置せず、新たにさせない雰囲気をつくることが大切だ」という。
一方、歴史的価値を持つ落書きもある。金峯山寺(きんぷせんじ)(奈良県吉野町)の蔵王堂の屋根裏や柱には、約400年前に建築された時の大工のサインや、歌人が訪れた時に詠んだ歌などが書かれている。世界文化遺産ではないが、浄瑠璃寺(京都府木津川市)の国宝三重塔の内壁からは07年3月、平安時代末〜鎌倉時代初めの落書きが見つかった。
京都精華大マンガ学部のヨシトミヤスオ教授は「後世に大きな意味を持つ落書きもないわけではないが、文化財指定を受けているものに書くのは犯罪。文化財は公共の物という意識を社会全体で高めることが必要だ」と話す。(小林未来)