旭川市の旭川医大病院(松野丈夫院長)が患者から採取した血液などの検体を無断で大手医薬品会社4社に提供していた問題で、旭川医大は23日、提供を主導した臨床検査・輸血部部長を停職1年の懲戒処分とした。部長と共にかかわった技師も同じ処分を予定していたが、責任を取り、今月4日付で依願退職した。
旭川医大によると、2人は4社からの依頼を受け04~06年、梅毒の病原体に対する抗体1800検体を患者の氏名などの個人情報とともに提供したほか、HIV陰性検体なども提供。4社は寄付金名目で計385万円を臨床検査・輸血部に支払った。
吉田晃敏学長は処分理由について「個人情報保護や目的外使用に関するインフォームド・コンセント(十分な説明に基づく同意)を怠った。研究費の受け入れで受託研究とすべきところを寄付金としていた」などと説明。ただ、氏名や年齢は「内部処分」を理由に公表していない。
旭川医大は1800検体のうち、1440検体を回収。名前が特定できた1500人に22日、謝罪文を送った。【横田信行】
2008年7月23日