北海道洞爺湖サミットが7日に開幕し、各国首脳と自治体の交流プログラムもスタートする。ところが、道内20市町村が各国に交流案を提示したものの、これまで実現が判明したのはカナダ首相夫妻の伊達市訪問だけ。歓迎ムードにわく伊達とは対照的に、他の自治体は落胆を隠せない。テロ警戒が優先される近年のサミットでは首脳との交流は難しくなっており、駐日大使らが「代打訪問」するケースが主流になりつつある。【和田浩幸、金子淳、久野華代】
カナダのハーパー首相夫妻は7日午前、「だて歴史の杜(もり)」を訪問。伊達市はカナダ・レイクカウチン町と姉妹都市であることから、両都市の子供34人が参加して同日開催した「カナダ・日本 子ども環境サミット」を目玉行事として訪問を打診した。市は「訪問は名誉で光栄。姉妹都市締結20周年の節目でもあり、市をあげて歓迎させていただいた」と喜びを隠さない。
しかし、こうした交流事業は01年に発生した米同時多発テロ以降、縮小傾向にある。00年の九州・沖縄サミットでは6自治体が首脳招へいに成功し、当時のプーチン・ロシア大統領が柔道を披露して話題になったが、今回、首脳訪問が判明しているのは伊達市だけだ。
代わりに目立つのが、駐日大使の派遣。大使が訪問する自治体幹部は「あきらめていたので大使でもありがたい。ただ、欲を言えば首脳に来てもらいたかった」と明かす。
胆振管内白老町はカナダとロシアにアイヌ民族博物館の見学ツアーを提案し、博物館に通訳機を導入するなど準備を進めたが、両国から6日までに断りの連絡があった。
同町は「カナダは伊達に行くのに、うちに来てくれないのは残念。両国にはアイヌ文化を見てほしかった。せめて大使でも来てくれれば」と無念さをにじませる。
また、乳児健診時に絵本をプレゼントする「ブックスタート」という英国発祥の事業を全国で初めて導入した恵庭市は同国に訪問を打診したが、訪問は実現しなかった。市は「正直がっかり。ただ、一連の活動を通じ、市と市民に国際化の機運と意識が高まった」と打診が無駄でなかったと強調した。
北海道洞爺湖サミットが開幕した7日、警備本番を迎えた洞爺湖周辺は白バイ隊など警護・警備車両の車列がひんぱんに行き来し、緊迫した雰囲気に包まれた。
現地では7日未明から激しい雨が降り、洞爺湖周辺は濃霧に包まれた。新千歳空港に同日到着した英、独、仏の各首脳の移動は空路から陸路に変更されたため、高速道路などで交通規制が行われた。
例年なら洞爺湖は観光シーズンのまっただ中。しかし、今年はサミット開催によって観光客が敬遠し、温泉街は閑散としている。【立山清也】
北海道洞爺湖サミットの会場に近い胆振管内豊浦町と壮瞥町で7日朝、サミット反対を訴える団体がデモ行進を行った。
現地ではデモを取り囲むように警官隊が警戒に当たった。
毎日新聞 2008年7月7日 北海道夕刊