Inno Setup 5、InnoEditXでのインストーラ作成手順

Inno Setup 5に関して

長所

短所

 

InnoEditXに関して

InnoEditXはInno Setup 5のフロントエンドです。日本語のソフトウェアで、GUIで簡単に設定できるなど、Inno Setup 5の短所をカバーします。また、ヘルプのチュートリアルも優れています。

 

仕様

ここで作成するインストーラの仕様は以下の通りです。

なお、配布ファイルは、C:\Releaseフォルダにあるkrkr.eXedata.xp3readme.txtと、C:\Release\pluginフォルダにあるwuvorbis.dllの計4つとします。

■他のフォルダに配布ファイルを用意していたり、配布ファイルの数や名前が違う場合は、それに読み替えてください。□

 

Inno Setupの入手〜インストール

jrsoftware.orgサイトのInno Setup Downloadsページから、Inno Setup 5をダウンロードし、インストールしてください(手順などは省略します)。インストーラ版(self-installing package)とZIP版がありますが、インストーラ版をダウンロードしたほうが楽でしょう。

■以降で説明する手順は、Inno Setup ver5.1.9でのものです。前後のバージョンでは異なっている可能性があります。□

次に、jrsoftware.orgサイトのInno Setup Translationsページから、Koichi Shirasuka氏が作成した日本語リソースファイル(Japanese-5-5.1.0.isl)をダウンロードし、ファイル名をDefault.islに変更して、Inno Setup 5のインストール先フォルダ(デフォルトではC:\Program Files\Inno Setup 5)に上書きコピーしてください。

 

InnoEditXの入手〜インストール

Textex.pageサイトのInnoEditXページから、InnoEditXをダウンロードし、インストールしてください(Vectorに登録されているのは古いバージョンですので避けてください)。インストーラ版とZIP版がありますが、インストーラ版をダウンロードしたほうが楽でしょう。

■以降で説明する手順は、InnoEditX ver1.14.0.0でのものです。前後のバージョンでは異なっている可能性があります。□

以下の手順でInnoEditXの設定を行ってください。詳細は、InnoEditXのヘルプから「導入‐InnoEditの環境を整える」を参照してください。

  1. InnoEditXを起動

  2. [ツール‐設定]メニューを選択し、[設定]ダイアログボックスを開く

  3. 左側のツリービューから[InnoSetup設定]をクリックし、[InnoSetup設定]ページを表示

  4. 「利用するInnoSetup(必ず設定してください)」グループにある、[ISCC.exe]に ISCC.exe (Inno Setup 5のコマンドライン版コンパイラ)のフルパスを設定する。隣の[開く]ボタンを使えば確実に設定できる。なお、 ISCC.exe はInno Setup 5のインストール先フォルダ(デフォルトではC:\Program Files\Inno Setup 5)にコピーされている

  5. 同じく、[Compil32.exe]に Compil32.exe (Inno Setup 5のGUIアプリケーション)のフルパスを設定する。隣の[開く]ボタンを使えば確実に設定できる。なお、 Compil32.exe もInno Setup 5のインストール先フォルダにコピーされている

  6. [スクリプトのコンパイルにはISCCではなくCompile32を用いる]をチェックする

  7. [OK]ボタンをクリックし、[設定]ダイアログボックスを閉じる(以降、[ビルド‐ビルド]メニューでインストーラをビルドできるようになる)

■テーマなどは好みで設定してください。以降のスクリーンショットでは[TBXテーマ]を OfficeXP にしてあります。□

 

インストーラの作成

白紙の状態からインストーラを作ってみます。

  1. InnoEditXを起動

  2. [ファイル‐新規作成]メニューを選択する(空のスクリプトが開く)

  3. タブから[Setup]ページを選択し、さらに[基本情報]ページを選択する

  4. [インストールするアプリケーションの名前(バージョン抜き)]に Foo と入力する

  5. [インストールアプリケーションの名前(バージョン付き)]に Foo ver1.0 と入力する(バージョンの書式は自由です。別に付けなくても問題ないようです)

  6. [デフォルトインストール先]に {pf}\Foo と入力する。{pf}はプログラムフォルダ名(通常はC:\Program Files)を示す変数である

  7. [デフォルトのスタートメニューグループ名]に Foo と入力する

  8. タブから[Setup]ページを選択し、さらに[インストーラー]ページを選択する

  9. [インストールに必要な最低ユーザー権限]で poweruser を選択する

  10. タブから[Files]ページを選択する

  11. [ツール‐ディレクトリの取り込み(ファイル単位)]メニューを選択する

  12. [フォルダの参照]ダイアログボックスが開くので C:\Release フォルダを選択し、[OK]をクリックする(インストール対象ファイルが一気に登録される)

  13. タブから[Icons]ページを選択する

  14. 一覧表の上でマウス右クリックし、コンテキストメニューから[アイテムの追加]を選択する

  15. [Iconsセクションエディタ]ダイアログボックスが開く

  16. [ショートカットの作成先]に {group}\ゲーム開始 と入力する。{group}はインストール先グループ名(この例では[スタート‐プログラム‐Foo])を示す変数である

  17. [ショートカットのリンク先]をプルダウンし、 {app}\krkr.eXe を選択する。{app}はインストール先フォルダ名(この例ではC:\Program Files\Fooで、{pf}\Fooと同じ)を示す変数である。

  18. [OK]をクリックする(一覧表に項目が1つ増える)

  19. もう一度、一覧表上でマウス右クリックし、コンテキストメニューから[アイテムの追加]を選択する

  20. [Iconセクションエディタ]ダイアログボックスが開く

  21. [ショートカットの作成先]に {group}\お読みください と入力する

  22. [ショートカットのリンク先]をプルダウンし、 {app}\readme.txt を選択する

  23. [OK]をクリックする(一覧表に項目が1つ増える)

  24. [ファイル‐名前をつけて保存]メニューを選択し、任意の名前で保存する。この例では C:\Installer\Foo.iss という名前で保存する

  25. [ビルド‐ビルド]メニューを選択し、インストーラを作成する。この例では、 C:\Installer\Output\setup.exe という名前で作成される

この例で作成した Foo.iss の内容は、以下のようになっているはずです(テキストファイルです)。Setup、Files、Icons各セクションの項目の順番は異なっていても構いません。また、キーワード(青字)の大文字小文字は区別されません。

[Setup]

PrivilegesRequired=poweruser

DefaultGroupName=Foo

DefaultDirName={pf}\Foo

AppVerName=Foo ver1.0

AppName=Foo

 

[Files]

Source: "C:\Release\plugin\wuvorbis.dll"; DestDir: "{app}\plugin";

Source: "C:\Release\readme.txt"; DestDir: "{app}";

Source: "C:\Release\krkr.eXe"; DestDir: "{app}";

Source: "C:\Release\data.xp3"; DestDir: "{app}";

 

[Icons]

Name: "{group}\ゲーム開始"; Filename: "{app}\krkr.eXe";

Name: "{group}\お読みください"; Filename: "{app}\readme.txt";

 

インストーラのテスト

  1. エクスプローラから、C:\Installer\Output\setup.exeを実行し、インストーラを起動する。この時、[別のユーザーとしてプログラムをインストール]というダイアログボックスが開く場合、Administrator権限を持つユーザー名でインストールを行う(権限次第では、現在のユーザーアカウントで続行しても構わない)

  2. [次へ]をクリックする

  3. [インストール先の指定]を確認して、[次へ]をクリックする

  4. [プログラムグループの指定]を確認して、[次へ]をクリックする

  5. [インストール]をクリックして、インストール開始

  6. [完了]をクリックする

  7. [スタート]メニューに[プログラム‐Foo]というグループができているか確認する。なお、WindowsXPの場合は、[すべてのプログラム‐Foo]というグループである

  8. グループFooに「ゲーム起動」と「お読みください」のショートカットがあることを確認する

  9. エクスプローラで、インストール先フォルダ(デフォルトはC:\Program Files\Foo)を開き、krkr.eXedata.xp3readme.txtplugin\wuvorbis.dllの4ファイルがあるか確認する(注意:unins000.dat、unins000.exeはアンインストールで使われるファイル)

  10. ゲーム起動」を選択し、実際にゲームが起動するか確認する

  11. お読みください」を選択し、readme.txtが開くか確認する

■使用している日本語リソースファイルによって、表示される文章が異なります。□

[インストール先フォルダ]をC:\Program Files\Foo以外ににしても正しく動作するか確認してください。また、説明は省略しますが、アンインストーラが正しく動作するかどうかも確認してください。

 

その他の設定など

分割インストーラを作成するには

  1. タブから[Setup]ページを選択し、さらに[分割、その他]ページを選択する

  2. [ディスクを複数に分割する]をチェック

  3. [1ディスクの最大容量]に最大ファイルサイズ(バイト)を指定する。デフォルトでは1,457,664バイト(1.4MBフロッピー1枚ぶん)

使用許諾契約書を表示するには

  1. 予め使用許諾契約書ファイルを作成しておく。ファイル形式はテキスト(.txt)かリッチテキスト(.rtf)のどちらかであること(この例では license.txt とする)

  2. タブから[Setup]ページを選択し、さらに[情報]ページを選択する

  3. [インストール前に表示するライセンスファイル]に license.txt を指定する

 

参考

以下のウェブサイトに、Inno Setup関連の有用なコンテンツがあります。

サイト名称

説明

Inno Setup日本語デベロッパーズガイド

Inno Setupの詳しい解説があります

mystral_kkのWebサイト

Inno Setupヘルプの日本語訳や、IsTools(InnoEditXと同じく、Inno Setupのフロントエンド)用日本語リソースファイルなどを公開しています。現在は閉鎖(→Internet Archive

ほしけんの Web 頁。

Hosiken WikiにInno Setupの解説などがあります(ただし、バージョンが古い)

www.syam.net

Inno Setup Japanese version(ただし、ver3.xまで)や日本語リソースファイルを公開しています