本格的なインストーラを作成できる。アンインストーラ登録、バージョンを比較してのコピー、関連付け、ActiveXコントロールやフォントのインストール、パッケージ分割 など、きめ細かい設定が可能
スクリプト言語(Pascal言語)によるカスタマイズが可能
インストーラのファイルサイズ、インストールするファイル数などに、制限がほとんどない
英語版のソフトウェアのため、使用するには敷居が高い。日本語の解説サイトはいくつかあるが、内容が不十分だったり、古かったりする
GUIではなく、設定を直接記述するタイプのインストーラ作成ツールなので、初心者には敷居が高い(ウィザードがあるものの、きめ細かな設定はできない)。フロントエンドソフトと組み合わせると良い(後述)
InnoEditXはInno Setup 5のフロントエンドです。日本語のソフトウェアで、GUIで簡単に設定できるなど、Inno Setup 5の短所をカバーします。また、ヘルプのチュートリアルも優れています。
ここで作成するインストーラの仕様は以下の通りです。
インストーラのファイル名は setup.exe とする
デフォルトのインストール先フォルダは、C:\Program Files\Fooとする
[スタートメニュー‐プログラム]に Foo というグループを作る
[スタートメニュー‐プログラム‐Foo]に、「ゲーム開始」と「お読みください」というショートカットを作成し、それぞれkrkr.eXeとreadme.txtを起動するようにする
[アプリケーションの追加と削除](WindowsXPの場合は[プログラムの追加と削除])に Foo ver1.0 という名前でアンインストーラを登録する
なお、配布ファイルは、C:\Releaseフォルダにあるkrkr.eXe、data.xp3、readme.txtと、C:\Release\pluginフォルダにあるwuvorbis.dllの計4つとします。
■他のフォルダに配布ファイルを用意していたり、配布ファイルの数や名前が違う場合は、それに読み替えてください。□
jrsoftware.orgサイトのInno Setup Downloadsページから、Inno Setup 5をダウンロードし、インストールしてください(手順などは省略します)。インストーラ版(self-installing package)とZIP版がありますが、インストーラ版をダウンロードしたほうが楽でしょう。
■以降で説明する手順は、Inno Setup ver5.1.9でのものです。前後のバージョンでは異なっている可能性があります。□
次に、jrsoftware.orgサイトのInno Setup Translationsページから、Koichi Shirasuka氏が作成した日本語リソースファイル(Japanese-5-5.1.0.isl)をダウンロードし、ファイル名をDefault.islに変更して、Inno Setup 5のインストール先フォルダ(デフォルトではC:\Program Files\Inno Setup 5)に上書きコピーしてください。
Textex.pageサイトのInnoEditXページから、InnoEditXをダウンロードし、インストールしてください(Vectorに登録されているのは古いバージョンですので避けてください)。インストーラ版とZIP版がありますが、インストーラ版をダウンロードしたほうが楽でしょう。
■以降で説明する手順は、InnoEditX ver1.14.0.0でのものです。前後のバージョンでは異なっている可能性があります。□
以下の手順でInnoEditXの設定を行ってください。詳細は、InnoEditXのヘルプから「導入‐InnoEditの環境を整える」を参照してください。
InnoEditXを起動
[ツール‐設定]メニューを選択し、[設定]ダイアログボックスを開く
左側のツリービューから[InnoSetup設定]をクリックし、[InnoSetup設定]ページを表示
「利用するInnoSetup(必ず設定してください)」グループにある、[ISCC.exe]に ISCC.exe (Inno Setup 5のコマンドライン版コンパイラ)のフルパスを設定する。隣の[開く]ボタンを使えば確実に設定できる。なお、 ISCC.exe はInno Setup 5のインストール先フォルダ(デフォルトではC:\Program Files\Inno Setup 5)にコピーされている
同じく、[Compil32.exe]に Compil32.exe (Inno Setup 5のGUIアプリケーション)のフルパスを設定する。隣の[開く]ボタンを使えば確実に設定できる。なお、 Compil32.exe もInno Setup 5のインストール先フォルダにコピーされている
[スクリプトのコンパイルにはISCCではなくCompile32を用いる]をチェックする
[OK]ボタンをクリックし、[設定]ダイアログボックスを閉じる(以降、[ビルド‐ビルド]メニューでインストーラをビルドできるようになる)
■テーマなどは好みで設定してください。以降のスクリーンショットでは[TBXテーマ]を OfficeXP にしてあります。□
白紙の状態からインストーラを作ってみます。
InnoEditXを起動
[ファイル‐新規作成]メニューを選択する(空のスクリプトが開く)
タブから[Setup]ページを選択し、さらに[基本情報]ページを選択する
[インストールするアプリケーションの名前(バージョン抜き)]に Foo と入力する
[インストールアプリケーションの名前(バージョン付き)]に Foo ver1.0 と入力する(バージョンの書式は自由です。別に付けなくても問題ないようです)
[デフォルトインストール先]に {pf}\Foo と入力する。{pf}はプログラムフォルダ名(通常はC:\Program Files)を示す変数である
[デフォルトのスタートメニューグループ名]に Foo と入力する
タブから[Setup]ページを選択し、さらに[インストーラー]ページを選択する
[インストールに必要な最低ユーザー権限]で poweruser を選択する
タブから[Files]ページを選択する
[ツール‐ディレクトリの取り込み(ファイル単位)]メニューを選択する
[フォルダの参照]ダイアログボックスが開くので C:\Release フォルダを選択し、[OK]をクリックする(インストール対象ファイルが一気に登録される)
タブから[Icons]ページを選択する
一覧表の上でマウス右クリックし、コンテキストメニューから[アイテムの追加]を選択する
[Iconsセクションエディタ]ダイアログボックスが開く
[ショートカットの作成先]に {group}\ゲーム開始 と入力する。{group}はインストール先グループ名(この例では[スタート‐プログラム‐Foo])を示す変数である
[ショートカットのリンク先]をプルダウンし、 {app}\krkr.eXe を選択する。{app}はインストール先フォルダ名(この例ではC:\Program
Files\Fooで、{pf}\Fooと同じ)を示す変数である。
[OK]をクリックする(一覧表に項目が1つ増える)
もう一度、一覧表上でマウス右クリックし、コンテキストメニューから[アイテムの追加]を選択する
[Iconセクションエディタ]ダイアログボックスが開く
[ショートカットの作成先]に {group}\お読みください と入力する
[ショートカットのリンク先]をプルダウンし、 {app}\readme.txt を選択する
[OK]をクリックする(一覧表に項目が1つ増える)
[ファイル‐名前をつけて保存]メニューを選択し、任意の名前で保存する。この例では C:\Installer\Foo.iss という名前で保存する
[ビルド‐ビルド]メニューを選択し、インストーラを作成する。この例では、 C:\Installer\Output\setup.exe という名前で作成される
この例で作成した Foo.iss の内容は、以下のようになっているはずです(テキストファイルです)。Setup、Files、Icons各セクションの項目の順番は異なっていても構いません。また、キーワード(青字)の大文字小文字は区別されません。
[Setup] PrivilegesRequired=poweruser DefaultGroupName=Foo DefaultDirName={pf}\Foo AppVerName=Foo ver1.0 AppName=Foo
[Files] Source: "C:\Release\plugin\wuvorbis.dll"; DestDir: "{app}\plugin"; Source: "C:\Release\readme.txt"; DestDir: "{app}"; Source: "C:\Release\krkr.eXe"; DestDir: "{app}"; Source: "C:\Release\data.xp3"; DestDir: "{app}";
[Icons] Name: "{group}\ゲーム開始"; Filename: "{app}\krkr.eXe"; Name: "{group}\お読みください"; Filename: "{app}\readme.txt"; |
エクスプローラから、C:\Installer\Output\setup.exeを実行し、インストーラを起動する。この時、[別のユーザーとしてプログラムをインストール]というダイアログボックスが開く場合、Administrator権限を持つユーザー名でインストールを行う(権限次第では、現在のユーザーアカウントで続行しても構わない)
[次へ]をクリックする
[インストール先の指定]を確認して、[次へ]をクリックする
[プログラムグループの指定]を確認して、[次へ]をクリックする
[インストール]をクリックして、インストール開始
[完了]をクリックする
[スタート]メニューに[プログラム‐Foo]というグループができているか確認する。なお、WindowsXPの場合は、[すべてのプログラム‐Foo]というグループである
グループFooに「ゲーム起動」と「お読みください」のショートカットがあることを確認する
エクスプローラで、インストール先フォルダ(デフォルトはC:\Program Files\Foo)を開き、krkr.eXe、data.xp3、readme.txt、plugin\wuvorbis.dllの4ファイルがあるか確認する(注意:unins000.dat、unins000.exeはアンインストールで使われるファイル)
「ゲーム起動」を選択し、実際にゲームが起動するか確認する
「お読みください」を選択し、readme.txtが開くか確認する
■使用している日本語リソースファイルによって、表示される文章が異なります。□
[インストール先フォルダ]をC:\Program Files\Foo以外ににしても正しく動作するか確認してください。また、説明は省略しますが、アンインストーラが正しく動作するかどうかも確認してください。
タブから[Setup]ページを選択し、さらに[分割、その他]ページを選択する
[ディスクを複数に分割する]をチェック
[1ディスクの最大容量]に最大ファイルサイズ(バイト)を指定する。デフォルトでは1,457,664バイト(1.4MBフロッピー1枚ぶん)
予め使用許諾契約書ファイルを作成しておく。ファイル形式はテキスト(.txt)かリッチテキスト(.rtf)のどちらかであること(この例では license.txt とする)
タブから[Setup]ページを選択し、さらに[情報]ページを選択する
[インストール前に表示するライセンスファイル]に license.txt を指定する
以下のウェブサイトに、Inno Setup関連の有用なコンテンツがあります。
サイト名称 |
説明 |
Inno Setupの詳しい解説があります | |
Inno Setupヘルプの日本語訳や、IsTools(InnoEditXと同じく、Inno Setupのフロントエンド)用日本語リソースファイルなどを公開しています。現在は閉鎖(→Internet Archive) | |
Hosiken WikiにInno Setupの解説などがあります(ただし、バージョンが古い) | |
Inno Setup Japanese version(ただし、ver3.xまで)や日本語リソースファイルを公開しています |