大分大医学部付属病院で献腎移植手術を受けた男性(当時47歳)が死亡したのは、手術後の拒絶反応の兆候を見落としたためなどとして、遺族が同大に約6200万円の損害賠償を求める訴訟を大分地裁に起こした。
訴状によると、男性は慢性腎不全のため、別の病院で透析治療をしながら腎臓移植を希望していた。今年3月27日、大分大医学部付属病院から「献腎が見つかった」との連絡を受けた。既に夫婦間の生体腎移植が予定されていたが、同日中に移植手術を実施した。
しかし、4月5日ごろから高熱などが続き、CT検査の結果などから急性期拒絶反応と診断された。11日に移植腎を摘出したが、血管縫合部分が破れ、4日後に出血性ショックで死亡した。
原告側は、手術後に拒絶反応を調べるための移植腎生検を全く行っておらず、拒絶反応を疑うべき所見のある検査結果を見落とした過失は大きいなどと主張。同病院は「訴状が届いたばかりなので、訴状の内容を調査した上で対応したい」とコメントした。
献腎は死亡者の腎臓で、献腎移植の5年生着率は80~85%、死亡率は8%とされる。【金秀蓮】
毎日新聞 2008年7月23日 地方版