大阪府内の「無戸籍2世」の子供2人をめぐり、法務省が父親の戸籍に記載したことを、「無戸籍児家族の会」が22日明らかにした。それぞれの子供を筆頭者とする単独戸籍を作成、その後、母親である無戸籍の女性(24)の夫が認知するなどしたうえで、夫が筆頭者の戸籍に記載された。2代にわたる無戸籍が解消されたのは初めて。
新たに戸籍に記載されたのは、女児(2)と男児(1)。女性は無戸籍で事実婚を余儀なくされている。法律婚をしていない場合、子供は通常なら母親の戸籍に入る。しかし、女性が無戸籍のため、子供は単独の戸籍を作成する方法を取った。さらに、女性と夫の婚姻届を受理し、夫が子供を認知するなどの手続きを経て、夫の戸籍に入ることが認められた。
女性の母親は、夫からの家庭内暴力で別居し、女性は別の男性との間に生まれた。母親が出生届を出せなかったため女性は無戸籍となり、事実婚のまま05年に女児、06年に男児を出産した。法務省は先月、子供を筆頭者とする新戸籍作成の方針を女性に伝えていた。
無戸籍2世を避けた例としては、兵庫県内の無戸籍の女性(27)について法律婚を認めたうえで、5月末に出産した男児が夫の戸籍に記載されたケースがある。今回は既に無戸籍2世となっていた子供についても救済した。法務省は「個々の事情を調査し、救済を検討していきたい」としている。
女性は「戸籍ができたことを喜んでいます。私自身、この規定(離婚後300日規定)と戦っていかなければなりません」とコメントした。【石川淳一】
毎日新聞 2008年7月23日 大阪朝刊