鳥取市立病院(同市的場一丁目)が、医師不足を背景に今年十月から小児科診療を休止する方向で検討していることが二十二日、分かった。拠点病院に医師を集める「集約化」のあおりを受けた格好。関係者は医師確保に懸命だが、今後の見通しも厳しく、来年度に診療を再開することは困難な状況だ。
|
|
小児科診療の休止が検討されている鳥取市立病院=22日、鳥取市的場1丁目
|
同日開かれた市議会福祉保健委員会で、清水健治副院長が明らかにした。小児科の休止は一九四八年の開設以来初めて。
市立病院によると、小児科は鳥取大医学部から派遣された医師三人が診療している。だが、鳥取大は今年五月、集約化を理由に、九月末で二人を引き揚げると通告。残り一人は開業するため今年九月末で退職する。
竹内功市長と病院関係者らは、鳥取大の能勢隆之学長や医学部小児科の教授を訪ね、医師派遣の継続を求めてきたが、通告内容は変更できないと伝えられたという。
市立病院は先週から、小児科の外来患者に現状を説明し、他の医療機関の紹介を始めた。
小児科の昨年度実績は、外来患者数が延べ一万四千五百六十一人、入院患者数は延べ七千九十八人。年間約三億円の収入があり、休止となれば、人件費などを差し引いて二億二千万円の収益が減る試算だ。
集約化は国や学会が進める対策の一つで、清水副院長は「地方の現場を知らない人たちが頭の中で考えていること」と批判。医師確保の見通しが立てば再開する方針だが、「都会への偏在や特定診療科への偏在があり、なかなか難しい」と説明した。