【ニューデリー=小暮哲夫】インド下院で22日、内閣信任動議を巡り、最大野党インド人民党の議員が「投票を棄権するようにと現金を渡された」と告発。与党側から受け取ったとされる大量の現金の札束を議場で示した。議場は紛糾し、この日予定された投票を前に審議が一時ストップした。
人民党の議員3人が、与党陣営の社会党関係者から投票棄権の見返りに1人あたり3千万ルピー(約7500万円)の提供を持ちかけられた、と説明。議場に3人分の「前金」として受け取ったという計1千万ルピーの札束を持ち込んだ。人民党は議長に調査を求めるとともに「倫理的責任を求める」として、シン首相の辞任を要求した。
社会党は野党だったが、今回の信任投票の前に与党側に付いた。同党幹部は「金を渡したという証拠を示すべきだ」と告発を否定した。
インドでは、米国との民生用の原子力協力に反対する左翼4党が今月9日、閣外協力を解消。シン首相が21日、内閣信任動議を提出した。政権側は新たに社会党など小政党の支持を取り付けたが、過半数確保を巡って与野党の勢力は伯仲。選挙協力や閣僚ポストなどをちらつかせた与野党双方の多数派工作が活発になっていた。