イラク駐留米軍の兵営などでの電気配線工事がずさんなため米国防総省の調べで、2003年9月以降、感電死した兵士らの米国人が13人に達していることが18日までに分かった。同省はこれを受け、テキサス州ヒューストンにある契約業者のKBRに兵営などの安全性をすべて調査するよう命じた。
この問題を調べる米上院調査委の報告書によると、KBRはイラクでの下請け業者の監督担当に電気技術の知識がない者を採用。また、英語を話せない外国人も雇っていた。KBRの元従業員の証言を引用している。
米紙ニューヨーク・タイムズは先に、陸軍の内部報告書を基に、粗末な電気配線工事で兵士を含む多数の人間が感電で重軽傷を負っていると報道。バグダッドの1施設では米兵の居住空間でほとんど連日、感電が発生しているとの事例も伝えた。
同紙はまた、2006年8月から昨年1月までの期間では、イラクの米軍関連施設で少なくとも283件の電気関連の火災が発生したとも指摘。イラクで最大規模の兵舎の大食堂も被害を受けたとしている。
米陸軍が2007年2月に発表した報告書では、兵営などでの貧弱な電気配線工事が、非戦闘的な分野で、駐留米軍兵士の安全確保にとって最も重大な問題になっていると結論付けている。
KBR社は駐留米軍兵士の住居供給などを担当しているが、自社の工事と感電死との間の関連性を示す証拠は得られなかったとの立場を維持している。しかし、昨年2月の陸軍報告書によると、同社は独自の調査を実施した結果、電気配線工事の施行で組織的な問題点が見付かったことを認めているという。