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2008年7月21日

mixi―純然たる日本ローカルのSNSの成功を分析する

Serkan Toto

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日本最大のSNSは2004年2月に同名の会社からローンチしたmixiだ。 mixiは日本のウェブサイトユーザーの5人に1人が訪問しており、登録メンバーは現在1500万人を誇っている。Alexa Japanによると、mixiのトラフィックは日本で6位、月間ページビューは140億。Google Trendsでウェブサイトの人気を比較してみると、mixiは純然たる日本国内向けのサービスであるにもかかわらず、全世界ベースではBeboよりも多くのトラフィックを集めている。(ユニーク訪問者数は1日平均230万人。下のグラフ参照)

欧米の主要SNSと比較するとmixiはあまり機能が豊富ではない(下のスクリーンショット参照)。しかし、以下のような背景を考えると、日本ではMySpace、Facebook、Beboなどライバルがmixiに対抗できる可能性はほとんどないだろう。

  • 会員登録の制限により安全性のレベルが高い―公式なサービス約款で、会員に登録するには18歳以上であること、日本の携帯電話のアドレスを所有していること*、既存のmixi会員から紹介を受けていること、が条件とされている。
  • ブログとコメントによるコミュニケーションが機能の中心―外部ブログへのリダイレクトも可能だが、メンバーの活動の中心なんといってもmixi内で「日記」を書いて友達と共有することだ。「今何をしているか」を発信するステータス・メッセージをニュースフィードとして配信する欧米のSNSとは異なり、mixiの機能は本質的に日本最大のブログ・プラットフォームだ。このサイトはまたユーザー生成の掲示板をサポートしており、現在その数は250万に上る。
  • デザインと構造は極度にシンプル―ユーザーがmixiのレイアウトを始めルック&フィールをカスタマイズすることはほとんど不可能だ。サイトは日本語版のみ。外部アプリケーションの導入は一切許されていない。欧米のSNSに比べてmixiのもっとも目立つ特徴は機能の乏しさだろう。
  • 匿名性の高さ―日本人は一般に匿名性を好む傾向があり、mixiもこの点に配慮している。実名と本人顔写真を公開しているユーザーの割合は5%以下だ。日本のユーザーにとって非常に重要なのは「あしあと」と呼ばれる、ユーザーのページへの訪問者のmixi上のIDとアクセス日時が記録される機能だ。ユーザーのセキュリティー上の安心感を高める効果がある。
  • 携帯電話専用版のサポート―2007年7月以降、携帯版ユーザーの数がPC版ユーザーの数を抜いた。(2008年3月時点での比率は携帯が60%、PCが40%)。

もう一つmixiで目立つのはビジネスモデルがかなり健全であることだ。おそらくWeb 2.0企業としては世界最初の株式公開だったと思うが、mixi2006年9月に東京証券取引所に上場した。現在の株式時価総額は$970M(9億7000万ドル)で、LinkedInの $1B(10億ドル)に近い

mixi Inc. は、一方で利益を上げているIT関連の求人サイト、Find Job!も運営している。2008年年度(3月期)の売り上げは前年の$36.5M(3650万ドル)から$82.4M(8240万ドル)に増加した。 FindJob!だけでも$11.6M(1160万ドル)の売り上げを計上している。同時期mixi全社の純利益は79.9%アップして$19M(1900万ドル)に達した。

ユーザー数や財務データの絶対値は欧米のトップSNSに及ばないものの、mixiのパフォーマンスは、日本国内のマーケットだけを対象としていることを考えると、やはり相当のものと言わざるをえない。メンバー1人当たりの売り上げは$5.46と、Bebo($20M)の13倍、Facebook ($150M)の3倍に上る。Find Job!の分も含めて考えると、mixiはメンバー1人当たりの利益でもBeboを大きく引き離している。(mixiは1人当たり$1.26。Beboは5000万ユーザーに対して、1人当たり$0.1)。国別のインターネットユーザー1人当たりの平均広告費をベースとしてTechcrunchがSNSの本当の価値を試算したランキングで、 mixiは8位を占めている。

mixiの地位は日本マーケットをSNS全体でも、特定の分野でもほぼ独占しているところから来ている。

ユーザーは月額$3でプレミアム会員となる(余分のストレージなどの特典を得られる)ことができる。プレミアム会費は全売り上げの7%を占めている。

ただしmixiの主要な収入源はこういった会費ではない。たとえば、mixiにはオーディオ・プレイヤーのプラグインが用意されており、ユーザーはmixiの音楽セクションにリストアップされた曲をiTunesを通じて共有したり購入したりできる。またオンラインショップでCDを購入することもできる。さらに今月に入って一部有料のストリーミング音楽サービス“mixiラジオ”が公開された。

ユーザーはまた本やCD、DVDのレビューを何万件も「レビュー」欄に投稿している。このレビューにはそれぞれオンライン・ショップへのアフィリエイト・リンクが含まれている。
mxiはまた Yahoo! Japan の検索連動テキスト広告プログラムと提携して収入を得ている。またしばしば日本の大企業と提携、mixi上でプロモーション・キャンペーンを実施している。

日本市場では、MySpace(Alexa Japanで81位)もFacebook(トップ100に入らず)もmixiのはるか後方にいる。どちらもユーザーインタフェースはそれぞれ2006年11月と2008年5月に日本語化されている(ただしサイト自体も日本向けにカスタマイズされているわけではない)。しかし、日本市場に特化して大成功を収めた代償として、mixiのサービスは国際化することがほとんど不可能になっている。mixiは最近、お隣の中国市場に進出したが、現在のデザインのままでいくなら、mixiは国内市場を独占することで満足している方が安全だろう。

〔訳注 * 現在mixiの新規入会手続きは多重アカウント取得を防ぐため複雑化しており、携帯メールアドレス、携帯電話番号の入力を求められることがある。ただし大手プロバイダのメールアドレス(フリーメールでないもの)から登録すれば携帯メールアドレス等の入力は不要な場合がある。mixiが詳細を公表していないので正確な条件は不明。〕

[原文へ]

(翻訳:Namekawa, U)

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