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【国際】

カラジッチ被告 逮捕 ボスニア紛争戦犯 イスラム教徒虐殺の罪

2008年7月22日 夕刊

 【ベルリン=三浦耕喜】セルビアのタディッチ大統領は二十一日夜(日本時間二十二日未明)の声明で、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争時のセルビア人勢力の政治指導者で、イスラム教徒虐殺の罪で旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷から起訴されているラドバン・カラジッチ被告(63)を逮捕したと発表した。地元メディアによると、セルビアの首都ベオグラードのアパートで拘束されたという。

 同被告は二〇〇六年三月に収監中に死亡した旧ユーゴスラビアのミロシェビッチ元大統領に次ぐ大物戦犯被告。紛争中の一九九五年七月にボスニア・ヘルツェゴビナ東部のスレブレニツァで約八千人のイスラム教徒の虐殺を指揮したとして、同法廷からジェノサイド(民族大量虐殺)の罪で訴追されているほか九二年から九五年の間に約二十万人が死亡したとされる紛争への責任が問われている。

 九五年の起訴を受けて同被告は逃亡。欧州連合(EU)は同被告の逮捕をセルビアがEUに加盟する条件として、セルビアに協力を求めていた。

EU加盟に弾み セルビア

 【ベルリン=三浦耕喜】ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争時にイスラム教徒を虐殺したとして旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷から起訴されている大物戦犯ラドバン・カラジッチ被告(63)が二十一日に逮捕されたのは、これまで逮捕に消極的だったセルビアの方針転換を表している。セルビアの欧州連合(EU)への加盟が加速することになりそうだ。

 セルビアでは五月の総選挙を受け、今月七日にEU加盟を推進する民主党のミルコ・ツベトコビッチ首相率いる新政権が発足したばかり。セルビアのEU加盟を阻む最大の障壁だった同被告の逃亡問題を、新政権は発足直後に片づけた。

 EUにとっても、セルビアが反発するコソボの独立問題を軟着陸させるためにも、セルビアをEUに引きつけておく必要がある。

 欧州委員会のバローゾ委員長は同被告の逮捕を評価する。だが、セルビア国内には同被告を英雄視する向きも。実際、同被告は、支持する軍関係者や政治家などの協力で潜伏していたとみられる。今回の逮捕でセルビアの民族感情が刺激される恐れもある。

 ラドバン・カラジッチ被告 1945年6月19日、ユーゴスラビア連邦モンテネグロ共和国ペトニツァ生まれ。サラエボ大医学部卒業後、精神科医を経て、90年6月にボスニア・ヘルツェゴビナでセルビア民主党を創設、議長に。92年12月、セルビア人勢力がボスニアに樹立を宣言した「ボスニア・セルビア人共和国」の大統領に就任し、イスラム教徒、クロアチア人各派との内戦を指導し「民族浄化」の推進役となった。 (共同)

 

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