回天画像 9
右に縦舵機のジャイロ。この縦舵機のみは簡易な造りの回天の中で唯一「精密機器」の様相を持っている。ジャイロの前後部にボタン状のものがあるがこれで針路データをセットしたのであろうか。左右のマウント部に深度計、傾斜計、速度計など必要最低限のメーターが付いていたのであろう。
「縦舵機」とはジャイロと操舵機構を組み合わせた「自動操縦装置」といえるか。
ジャイロには訓練用と実戦用の2種があったというがこれがどちらかは私には判らない。
九三式魚雷の縦舵機ジャイロは空気式で8000rpmであったが回天は電気式にして2万rpmとし精度が向上、セットした針路に自在に艇を操縦してくれたという。
ハッチ径は実に小さい。
作戦海面進出まで母潜上に露出繁止される回天では漏水、漏気、漏油などがよく生じていたという。
当時の工作技術では仕方のない面もあったことと思われるが、出撃時に「完備」の艇は少なかったようである。
多少の故障などは気迫と技量でこれを凌駕して勇躍発進していったものかと思われる。
縦舵機。手前のハンドルはメインタンク用の海水管バルブ開閉用ものだろうか?