【ソウル=牧野愛博】金剛山観光客射殺事件の発生から10日が過ぎた21日、「17歳の北朝鮮女性兵士犯行説」が浮上した。北朝鮮当局者が先週訪朝した韓国民間業者らに証言した。韓国政府は不確かな情報とみるが、南北の政府間対話は中断したままで、事件解決のめどは立っていない。
北朝鮮では男性は満17歳前後から徴兵されるが、女性は志願制。北朝鮮当局者の証言は、事件の偶発性を強調し、北朝鮮の責任を軽くする狙いもあるとみられる。
事件に関する北朝鮮の証言も迷走。発生直後、被害者の50代女性が徒歩で20分かけて3.3キロ移動したと説明したが、韓国内で疑問視する声が出ると、「40分で2.4キロ」と修正した。
だが、これらの説明も、観光事業を手がける現代峨山に説明したもので、韓国政府は確認できないのが現状だ。21日に行われた国会質疑でも、政府の対応がもの足らないとして批判する声が相次いだ。