4人が犠牲になった和歌山市園部の毒物カレー事件は、25日で発生から10年になる。今年も4人の命日に当たる26日、自治会主催の慰霊祭が現場近くの公園で開かれる。
■遺族
谷中千鶴子さん(71)の家の庭には、事件で亡くなった夫孝寿さん(当時64歳)と2人で植えた花々がたくさん咲いている。手入れをしながら頭をよぎるのは、孝寿さんのことだ。
この10年を「長かったとも、早かったとも思う」と振り返る。近所の人たちに、気にかけてもらっていると感じてきた。それだけに、「健康で人に迷惑をかけず、明るく楽しく生きたい」と願う。
■地元自治会
園部第14自治会長の川村憲三さん(57)らは、廃材でテーブル(縦109センチ、横107センチ、高さ82センチ)を作り、今月初め、林真須美被告(47)らの自宅跡地に置いた。跡地は、自治会が各世帯の寄付や積立金で購入。「人が集まるような場所になれば。急がずゆっくりやっていきたい」と川村さんは言う。
【加藤明子、清水有香、藤顕一郎】
記者は7月14日、林真須美被告(47)と大阪拘置所で面会した。真須美被告は「真犯人がもし生きているなら名乗り出てほしい」と切り出し、あらためて無罪を主張した。
黒いVネックのTシャツに、幾何学模様の幅広のズボン。10年前よりは幾分やせた印象だ。支援者らと頻繁に手紙をやりとりしているという。「時間がないからどんどん質問して」と早口で求め、この10年間をどう思うかの問いには、少し間を置いて「苦しかった」と答えた。
真須美被告は和歌山地裁で02年12月、死刑を言い渡され、高裁も控訴を棄却。上告している。【安藤龍朗】
毎日新聞 2008年7月22日 2時30分(最終更新 7月22日 2時30分)