江戸から明治にかけて捕鯨で栄えた長門市通地区で二十一日、勇壮な古式捕鯨を再現する「くじら祭り」が通魚市場周辺で開かれた。通を「古式捕鯨の里」として広くアピールしよう―と、一昨年から古式捕鯨の実演者を一般公募。約二千人の観客を前に、東京や福岡からの参加者も地元の漁業関係者に交じってクジラ捕りを熱演した。
「クジラが来たぞー」と叫ぶ通小児童の声と同時に、赤い締め込み姿の通鯨組が出漁。約五十人が和船四隻に乗り込み、全長一三・五メートルのクジラ(クジラ形をした船)を通湾内に追いんだ。網がかけられ、数人がクジラの背中に飛び乗ってもりを打ち込んで仕留め、「くじらを捕ったぞー」とときの声を上げた。
引き揚げられたクジラからは子クジラが出てきて、通中学校の男子生徒十八人が鯨唄を歌って供養した。
東京から初参加したフランス人翻訳家ニコラ・テラスさん(32)は、フランスの大学時代に捕鯨文化を研究。「昔の人がどういう気持ちで鯨を追ったのか分かったような気がした。いい経験ができた」と笑顔。三年連続で参加している北九州市の公務員保坂高志さん(33)は「自分の中では夏の恒例行事。地元の人との交流も楽しんでいる。来年以降も参加したい」と話していた。 |