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くらし

どう見る?ウナギの産地表示 

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 中国産ウナギの産地偽装事件を機に、消費者の関心が高まった産地表示。店頭では産地や安全性の情報開示が進んでいるものの、輸入ウナギを長期間国内で育てた場合、「国産」と称する商習慣が残るなど、消費者には分かりづらい点が多い。土用の丑を前に、あらためて表示の仕組みや課題をまとめた。(吉本晃司)

 日本養鰻漁業協同組合連合会(静岡県)によると、昨年出回ったウナギは十万三千トンで、うち約八割がかば焼きなどの加工品。国産は全体の二割程度。多くを中国と台湾からの輸入に頼っている。

 水産物としてのウナギ(活鰻(かつまん))は日本農林規格(JAS)法の品質表示基準では、魚の種類名(この場合ウナギ)と原産地が必要だ。さらに養殖ならば国内外問わず、「養殖」の表示も求められる。スーパーなどの店頭に並ぶウナギは大半が養殖という。

 国産ならば、「鹿児島県産」や「四万十川」など、都道府県名や水域名でも表示できる。

 複数の国にまたがるケース、例えば台湾である程度育てたウナギを輸入し、日本の養殖池で成長させた場合はどうか。

 国内での養殖期間が海外を上回れば「国産」、そうでない場合は、「中国」か「台湾」と表示しているという。「米国産でも日本での肥育期間が長ければ国産牛と表示できる畜産物のルールに従っている」(ある業者)という理屈だ。

 だが、農林水産省によると、この解釈は誤り。国外で養殖したウナギを国内に持ち込んだ以上輸入品であり、国内での養殖期間は一切考慮されない。

 産地偽装が相次いだことを受け、日本鰻輸入組合(東京都)は、今後、期間の長短にかかわらず輸入ウナギを輸入品として扱い、原産国の表示を徹底することを決めた。

 加工食品は、JAS法の基準では原料原産地の表示義務はない。しかし、ウナギのかば焼きやカツオのたたきなどは、素材の質がより重視されるため、原産地が表示される。

 国内加工のかば焼きの場合、ウナギが国産なら「原材料名ウナギ(国産)」と表記される。活鰻と同様、「国産」部分が「浜名湖」「鹿児島県」など都道府県名や地名が入るケースもある。中国産なら「原材料名ウナギ(中国)」と記される。また加工地が国外ならば、表示項目に「原産国名」が追加され、国名が記載される。

 ウナギが国産かどうか、加工地が国内か海外かで、細かくルールが定められているが、海外を経由していれば必ず国名が表示される。国名が記されないのは、国産ウナギを国内加工した場合のみ。 

第三者機関設置を

 かば焼きを輸入している尼崎の商社「信和貿易」の三枝誠社長は「いつどこで育てられたかの情報はすべて開示すべきで、それが消費者の信頼につながる」とし、表示の厳密化を歓迎する。

 ただ、表示は小売りや卸売り業者に一任されている現状に変わりはなく、正確なのかどうか、第三者によるチェック機能はない。養鰻漁連の若林稔参事は「消費者の信頼回復のためにも、業界団体や流通業者で第三者機関をつくっていかなければ」と話す。

 表示は消費者にとって唯一の判断基準。農水省兵庫農政事務所の中出孝表示・規格課長は「客に尋ねられたときにきちんと説明できるようにしておくのは売る側の義務。誠実に表示してほしい」と話している。

(7/21 12:49)

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