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2008-07-22 「あたらしい戦略の教科書」から考えた、カーナビ戦略家論
■「あたらしい戦略の教科書」から考えた、カーナビ戦略家論

「課長の教科書」が大ベストセラーになった、酒井穣さんの新作「あたらしい戦略の教科書」を読みました。
- 作者: 酒井穣
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2008/07/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
この本、「戦略本」では大変ユニークな本。
「戦略」といっても実は、いろんな戦略があります。経営戦略、事業戦略、営業戦略、販売促進戦略、四半期活動戦略、月間活動戦略。
一般的な戦略本は、「経営戦略」「事業戦略」について書かれた本がばかり。当然、読者ターゲットは経営者や、役員。
この本は、管理者、一般向けに書かれた、初めての戦略本ではないでしょうか?
その為、この本では、
「戦略とは、旅行の計画である。現在地と目的地を結ぶルートに例えることができる」と定義しています。確かに、管理者以下に必要な定義は、これでOKだと思います。実に、シンプルで分かりやすい定義ですよね。この定義で書かれた本は、確かに今まで読んだことがなかったので新鮮でした。BR>
管理者の多くは、経営戦略や経営目標への関与まではできないハズです。経営目標をベースに、自分たちのチームの目標をどうしていくか、それをどう達成していくかというルートを考えていくのが中心の仕事になるハズです。その部分にマトを絞った戦略本です。だから、管理者の皆さんにとっては、経営戦略本を読むより、かなり実践的な内容が入っていると思います。
例えば、現状分析をする為の顧客へのヒアリング法、戦略を立案する為の情報収集ルートや情報収集の仕方など、通常の線略本には書いていない、現場の管理者が戦略を立案していく際に必要な具体的作業レベルの事まで書いてあり、管理者以下の方が読む「戦略本」としてはとてもオススメです。ターゲットが絞られているからこそ、今までにない戦略本になっているのではないかと思います。
この本で、とても勉強になるのがメタファーです。戦略に関する素晴らしいメタファーがいくつも書いてあります。
その中の一つとして、「戦略立案する人は、カーナビ」だというメタファー。カーナビは、「?現在地を確認し、?目的地を設定し、?目的地までのルートを検索するという作業」を行います
戦略家(戦略を立案・管理する人)が行う作業も、確かにこの作業ですね。時間通りに目的地に着くかどうかを判断しながら、渋滞などに巻き込まれたら、柔軟にルート変更をしていく。これらの作業を戦略立案する人も行っていかなければなりません。
この「カーナビ」というメタファーは、実に素晴らしいメタファーですね。カーナビというメタファーから考えるだけで、戦略家に必要な大事な仕事がいくつも見えてきます。
- カーナビは常に目的地を意識している→戦略家は、常に鮮明にゴールを意識続けなければならない。戦略遂行中に、チームへの意識付けが大事な仕事になる。
- 現在地が正確に把握できるカーナビでなければ使い物にならない→戦略家は、顧客との関係、競合との関係、社会状況との関係などの外との関係と、自社の内部状況(財務状況、強み、弱み等を正確に把握する必要がある。
- カーナビは常に現在地をトレースしてくれる→戦略家は、「戦略の遂行状況」を見える化してトレースしなければならない。(例えばバランススコアカードなどを用いて)
- カーナビは、ルートから外れても、瞬時に目的地までの新しいルートを出してくれる→戦略家は、戦略遂行の結果に合わせて、瞬時に戦略の微修正を行う体制を作っていかなければならない
- カーナビは、常に到着時間を意識させてくれる→戦略家は、常にゴール到達までの予定時期を意識しなければならない。進捗状況に合わせて、スケジュール表を引き直し、変更になった予定達成時期をメンバーに伝えなければならない
- カーナビは、分岐点において音声等で注意を喚起してくれる→戦略家は、マイルストーン(分岐となる一里塚)を意識しておき、そこに到達する度に、チームメンバーにその事を伝えなければならない。その事が、大事なことの漏れをなくしていく
- カーナビは、定期的に地図を新しいものに入れ替えなければ使い物にならない→戦略家も、定期的に戦略の見直しをする必要がある。新しい道路ができるのと同じように、戦略を取り巻く環境も変化する。環境が変化すればルートも当然、変わってくる。
- 新しいカーナビにはVICS(リアルタイムの道路交通情報)がついており、目的地までに発生する環境変化を自動的に知らせてくれる→戦略家も、VICSのように、常に戦略の前提となった環境情報については、定期的にチェックされ戦略家の耳に自動的に入る仕組み化を行う必要がある。
- カーナビは、利用者に合わせて地図の縮尺が可能である→戦略家は、メンバーに合わせて、戦略をブレークダウンしてあげる必要がある。ベテランには細かな説明は必要ないが、新人などには、細かにやるべき事をかみ砕いて説明する必要がある。カーナビの市街拡大図のように。
良いメタファーは、いろんなアイデアを創出させてくれます。この本には、戦略についてのそんな素晴らしいメタファーがいくつも溢れています。私が気に入ったメタファー、名言をご紹介すると、
- 戦略とは、現在地と目的地を両親とする子供である
- 立案されたばかりの戦略は、常に弱々しく頼りなく見える。しかし、戦略の遂行に伴い、新しく得られた現在地の情報を食べて、戦略は大きく成長していく。戦略を遂行することで、目的地と現在地までの細かったラインがダンダン太いラインになってくる
- 戦略を持っていないという事は、「新しく役立ちそうな情報」を入手できたとしても、それをムダに捨てることになる
- 戦略を作るメンバーはロールプレイングゲームのメンバーのように、それぞれ個性を持った存在でなければならい
- 戦略と戦術の違いを議論することは、「議論の為の議論にしかすぎない」
- 未来の読みにくさが高まると、計画を立てるのが難しくなる。
- 未来の手がかりは、現在にある
- バンテージポイント(見晴らしのよい所)に登る
- 情報収集し、分析することが戦略ではない
- 時差を活用して、戦略を立案する
- 競合と競い合うべきなのは、「どちらが顧客を理解しているか」ということ
- 同僚に金をくれといのうのがナンセンスなのと同じくらい、情報をただでくれということはナンセンス。物々交換ならぬ情報交換
- 人に喜ばれる情報は、あなたからしか入手できないウェット情報。
- あなたがやるべき事は、ドライ情報をたくさん集め、それに付加価値をつけて、ウエット情報にしていくこと
- 情報を集めるインタビュアーに必要な技術は、相手に口を滑らせる技術
- 特に情報収集すべきことは、「まだ顧客になっていない顧客」に「なぜ、自社商品を他の顧客に薦められないのか?」ということ
- 情報のGIVE5乗の実践
- 戦略には利他性のスパイスが入っている事が大事
- 成績目標だけではなく、熟練目標を取り入れる(他人との比較だけでなく、昨日の自分との比較)
- 「あなたが○○することで、会社が○○する」というあなたが主語になる目標設定
- 「種戦略」を大事にする
- 戦略とはコミニケーションを活性化させる道具である
- 戦略を密室で作るのは、現代社会でのタブー
- 戦略とは、「顧客の頭の中に消えないメッセージを刻み込むこと」
- 価格と品質のようにトレードオフと思われた矛盾を解決するのがアイデア 矛盾とは、ブレークスルーの母
- 大きな戦略をプロジェクトに分解したとしたら、要素プロジェクトをすべて合わせたら、元のプロジェクトの大きさの100%以上にならなければならない
- 計画上の完了日は、タテマエ完了日。前倒しして終了する事で、前向きムードを創り出す
- 無難であることは、一流になることの敵である。やめる勇気を持つ
- 現場に売り込むキャッチコピーを作る
他にも、たくさんの名言、メタファーがたくさんありました。是非、一読されるといいと思います。オススメの本です。