検証に当たった特別チームは、以下のことを指摘する。
「WaiWai」に不適切な記事が掲載され続けたのは、▽原稿が妥当かどうかをメディア倫理に照らして精査するデスク機能がなかった▽執筆陣が男性に偏っていたため女性の視点がなかった▽スタッフは外国人のみで日本人の視点が欠けていた――の三つの編集上のチェックの不在が直接の原因と言える。
毎日新聞本紙の場合、紙面審査委員会や「開かれた新聞」委員会などを通じて、記事内容は常にチェックされるが、MDNには、そのようなシステムはない。担当記者が書いた原稿がそのまま掲載され、不適切な記事が見過ごされ続けた原因は体制上の欠陥にもある。
担当記者は「毎日新聞の信用を傷つけてしまうかもしれない」との認識を持ちながら、不適切な記事を頻繁に翻訳し、「元の記事の内容について責任を負わないし、正確さも保証しない」という断り書きを付けることを免罪符に記事を書き続けた。記者倫理を大きく逸脱したものだ。
ウェブに移行した時、海外も含めた社外に英文で情報を発信することの重要さについての認識が社全体に足りなかったことも指摘せざるを得ない。英文毎日編集部における「WaiWai」の編集方針の議論が決定的に欠ける中、歴代の上司は、自らの媒体の内容を把握するという基本を怠った。
ウェブ版がスタートした01年4月から08年3月までに寄せられた苦情は確認できただけで15件あった。しかし、注目されるコーナーだったためもあり、外部の声に真摯(しんし)に耳を傾ける姿勢が担当記者にも幹部にも欠けていた。
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検証チームは、東京本社編集局社会部、「開かれた新聞」委員会事務局、内部監査室で構成し、公正を期すため、デジタルメディア局は外しました。
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