2008.07.21 Web posted at:  11:31  JST Updated - AP
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理系の人材育成は停滞と 米実業界が警鐘

(AP) 全米の大学で2015年までに理学部、工学部など理系学部の卒業生を倍増させようとの目標を掲げる米実業界のグループがこのほど、「理系の人材の数は伸び悩んでいる」とする報告書をまとめ、このままでは米企業の競争力低下につながると警告した。グループは目標達成に向け、公的資金による補助などを求めている。

「タッピング・アメリカズ・ポテンシャル(米国の可能性を開拓しよう)」と名付けられたこのグループは、米国商工会議所、全米防衛産業協会など実業界の16団体で構成。05年に理系大卒者の倍増を目指して結成され、「年間40万人の新卒者が必要」と主張してきた。

しかし、同グループが15日発表した報告書によると、米国内の理系の新卒者は過去数年間、22万5000人前後にとどまり、増加する兆しがみられない。議会では昨年、科学技術分野の研究、教育を支援する法案が超党派で可決されたものの、十分な資金提供にはつながっていないとされる。

理系の人材育成については、米大手企業CEO(最高経営責任者)らによる経済団体、ビジネスラウンドテーブルも、必要性を強く主張している。同団体の教育、労働力部門を率いるスーザン・トレイマン氏は「技術者1人を育てるのに、幼稚園から大学卒業まで17年かかることになる。旧ソ連の人工衛星打ち上げに全米が衝撃を受けた『スプートニク・ショック』のような事態になってからでは遅過ぎる」と、危機感をあらわにする。

こうした主張に対し、「理系の人材が求められているのが事実なら、公的補助などなくても、学生は自然に理系の道に集まってくるはず」との批判もある。一方、経営コンサルティング大手、アクセンチュアのウィリアム・グリーン会長兼CEOは、「世界には、官民一体となって、企業の競争力強化に向けた人材育成に集中している国がたくさんある」と指摘。「わが社を含めどの企業でも、採用した人材の訓練には力を尽くしている。だが人材自体の不足を解決するには、連邦政府の力が必要だ」と話している。

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