城みちるさん 高知市の高齢者施設で訪問コンサート
1970年代、「イルカに乗った少年」などで一世を風靡(ふうび)した歌手の城みちるさんが15日、高知市朝倉己のグループホーム「やさしい里」で訪問コンサートを行った。施設の利用者やスタッフら約70人が楽しんだ。
城さんは今年1月、無償で老人介護施設などの訪問コンサートを始めた。芸能活動の合間を縫って、月の半分ほど自前のキャンピングカーで全国を回っている。
1年前、出身地広島の友人から「老人ホームで歌ってくれないか」と頼まれたのがきっかけ。大勢の観客を前に歌うことには慣れているはずの元アイドルも、最初は不安だったとか。ところが、会場のお客さんの笑顔が忘れられなくなった。
「寝たきりのおばあちゃんが、僕を見ながら手を振ってくれたんです。ああ、これは自分のライフワークにしたいな、と思いました」
訪問先は、城さん自身が探して電話をかける。コンサートの申し出に、「まさか!」と最初は誰もが信じてくれないそうだが、多くは快く受け入れてくれる。
「やさしい里」のデイルーム。「城みちるさんありがとう」のメッセージとイルカが書かれた横断幕が掲げられた。コンサートは「あの素晴らしい愛をもう一度」で始まり、「上を向いて歩こう」など6曲を歌い上げた。もちろん往年のヒット曲「イルカに乗った少年」も披露した。
「イルカ―」では、デビュー時の振り付けと変わらない激しいアクションも。会場は一斉に力強い手拍子を送り、中にはリズムに合わせて踊る人も出る盛り上がり。
今日のためにお化粧をばっちりしてきたという塩田節子さん(80)は「城さんが来て、歌ってくれてみんな元気をもらった。また来てほしい」と喜んでいた。
「『イルカ―』の振り付けができるまでは頑張りたいと思います」。コンサート後、城さんは往時と変わらないさわやかな笑顔を見せた。
16日は宿毛市の「幡多希望の家」「ケアハウスすくも」を訪問後、徳島に行き、22日にまた来高するという。
【写真説明上】観客からプレゼントを受け取る城さん(写真はいずれも高知市朝倉己「やさしい里」)
【写真説明下】「イルカに乗った少年」を熱唱する城さん
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