「健・和・富」。心身ともに健康で、争う心を排除し、貧困からの脱却を図っていこう−という取り組みである。幸福のひとつの尺度ともいえるのだが、その役割を次代を担う若者に託し、これを受けて若者たちは各所で活発な展開を見せている。来年、立教50年を迎える崇教真光が彼らの母体。初回は社会貢献活動をリポートする。
霊峰富士。神の山として、日本人の心のふるさととして愛され続け、夏のシーズンともなると登山者は30万人にのぼる。その富士山を世界遺産にしようと多面的な取り組みが展開されている。ごみを拾い集めて富士山をきれいにしようという「富士山清掃」はその柱だ。昨年の一斉清掃は夏休み終盤の8月19日に行われた。参加約3500人。そのなかに「真光青年隊」234人の姿があった。
真光隊の参加は今年で11年になる。午前9時30分、5合目付近に集合する。首にタオル。軍手、ごみ袋、ごみ挟み…と七つ道具を携えて山頂へと山道を進み、作業は午後1時まで続く。真夏の太陽は想像以上に暑い。「登るのは大変だったけど、仲間と一緒なので楽しくやれた」と高根英子(21=焼津市)は振り返るが、ともかく相手は空き缶、ペットボトル、ポリ袋、発泡スチロール、衣類、靴などといったごみ。それを、ひとつひとつ拾い上げては登っていくわけだから、きつい作業に違いない。昨年、1日に拾い上げたごみの全量は実に1655キログラムに上った。
だが、作業を終えた後の充実感は格別だ。高根は「山がきれいになったら気分も明るくなった」と打ち明け、初参加の新井里美(31=静岡市)は「参加するまではごみは他人事だったが、今は自分たちの山なのだから自分たちできれいにしていかなくては−と思うようになった」といっている。2年連続参加の山崎理絵(24=袋井市)も「普段の生活や町のなかでごみが目につくようになった」と目線の変化を認めている。
富士山清掃に限らず、毎年、地域の草取りや落ち葉集め、ごみ拾いなどの社会貢献活動に参加している真光青年隊の若者たちの受け止め方も同様だ。都内の清掃活動に参加した根井めぐみ(22=文京区)は「人のため、社会のために役立つことの大切さ」を感じ取り、繰り返し参加している坂田紘子(22=同)も「自分一人では結局、何もできない」ことを学んだ。小山真(25=立川市)は「あれ以来、父親を誇りに思い、尊敬するようになった」と白状している。
いずれも参加し、実践してみて初めて得た実感だ。理論や座学だけではなかなか体得できないということを、彼らは体験のなかで“証明”してくれたのである。いま、課題の“徳育”も「やらせてみる」「やってみる」ことが結局は近道なのだろう。隊長格の内田ゆか(27=八王子市)はこの点について、「理論ではなく、やってみる。汗を流してみることが大事なんです」とずばり本質を突いてみせるのである。
アルピニストの野口健(34)は、10年ほど前から富士山やエベレストの清掃活動に取り組んでいるが、「せっかくきれいにしてもすぐにごみを捨てていく不届き者が後を絶たない」と怒りを隠さない。それだけに富士山清掃でリーダー役を果たしている福島優紀(29=静岡市)は「より多くの人に参加してもらえるきっかけ作り」を進め、小林大祐(31=同)も富士山を世界遺産にするための具体策として「樹海清掃なども手掛けていきたい」と青写真を描いている。
|
|
|
- 歌川広重名所江戸百景展
〈2月26−5月18日〉
- 岐阜の自然と世界の大昆虫展 世界のなに?!これ!?昆虫大集合
〈5月31−9月15日〉
- 飛騨根付展
〈9月27−12月15日〉
- 飛騨の縄文弥生古墳展
〈2月26−5月18日〉
- 古代のどうぶつえん展
〈2月26−12月15日〉
- 美術展示「春の装い」
〈2月26−5月18日〉
- 特別公開 国宝日本刀「銘 康次」
〈4月1−5月18日〉
- 特別公開 速水御舟「牡丹唾猫」
〈4月5−5月8日〉 〈10月11−11月13日〉
- 美術展示「夏の装い」
〈5月31−9月15日〉
- 美術展示「秋・冬の装い」
〈9月27−12月15日〉
- ブラジル展
〈10月18−12月15日〉
|
|