7月21日のながさきニュース
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長崎新聞
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5分ルールで診療所減収2割超 県保険医協が国に即時撤廃要求
医師が再診の患者に対する診察に五分以上かけないと報酬が減る「五分ルール」が四月から始まり、県内診療所の収入が二割以上減ったことが、県保険医協会(千々岩秀夫会長)の調査で分かった。厚生労働省が「患者への丁寧な説明のため」に導入したルールだが、開業医らは「医療の質は時間で計れない」「経営不安を増幅させた」「五分の根拠が問題」などと反発。同協会は即時撤廃を要求している。
今回の診療報酬改定では、再診料に五百二十円上乗せする「外来管理加算」を算定する要件に、患者が診察室に入ってから出るまでを「おおむね五分を超える」を加えた。
同協会は、三月と改定後の四月で算定(請求)した回数や診療報酬月額を比較するため、八百七十一会員にアンケートを送付し、百五十七会員(18%)から有効回答を得た。
結果、算定回数は平均22・5%減少。特に皮膚科は聴診器を使わず、診察時間が短いため半分以下になった。ほかに泌尿器科や小児科、内科の減収が目立った。月額は平均六万七千六百円減少、中には七十五万円減った診療所もあった。
長崎市内の内科診療所がある日、再診に訪れた五十二人に対する平均診察時間は二・七分で、加算できたのは一人。だが、この時間には血液やエックス線の検査は含まれていない。選択式で質問すると「診察時間はもっと長い方がよい」「もっと丁寧な説明が聞きたい」と回答した患者はおらず、「待ち時間はもう少し短い方がよい」が十二人だった。
別の診療所では、診察を五分以上に延ばしたことで人数をこなしきれず、待ち時間が長くなり患者の不満が大きくなったという。
同省が五分ルール設定の目安にしたのは、大阪など二府四県で実施した調査。内科診療所に看板表示された「診療時間」を患者数で割って計算し、「九割の診療所は平均診療時間が五分以上」とした。これに対し同協会は、実際の診察時間と懸け離れているとして、ルール撤廃を求める抗議文を同省に提出した。
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