ライト級GP決勝直前! 『週刊ワオ木真也』更新!!WOWOWチーフプロデューサー大村氏が語るUFC放送再開決定の“真相”!!ヒョードル激勝を現地からレポート!! 『アフリクション』ついに旗揚げ!

kamipro最新号


2008年7月16日(水)発売
定価880円(税込)

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追撃!! WOWOWチーフプロデューサー大村氏に緊急インタビュー! UFC放送再開決定の“真相”とは!?【中編】

前回、UFC放送再開についての詳細を語ってくれたWOWOWチーフプロデューサー大村和幸氏。今回は、実際に、UFCがどのように放送されるのかについて迫った。WOWOWが考えるUFC放送の戦略とは!?

聞き手/ジャン斉藤 写真/Josh hedges(UFC)


――実際の番組自体のことをうかがいたいんですが、基本的にPPV以外の試合は放送しないというやり方があると思うんですけど、韓国ではダークマッチだったキム・ドンヒョンの試合は特別に放送したという事例もありますよね。WOWOWさんでもそういった国内向けの構成にしようという計画はあるんでしょうか?
大村 いや、基本はあくまでもPPVで流れているものを基本として放送したいなという姿勢ですね。以前は、たとえば岡見(勇信)選手の試合がアンダーカードの第2試合にあります、と。そうすると、構成を組み替えてちょっと入れようかとか、そういうことはしたこともありますけど、それをレギュラーにはしてません。

――では、大会ごとに判断していくということですね。
大村 原則としてはPPVで流れる5〜6試合を放送する予定です。結局、アメリカでのPPVって3時間でパッケージじゃないですか。それを、2時間枠に凝縮して日本の皆さんにお届けするというのが基本姿勢です。それに、我々としては日本人だからというよりも世界最高峰のものを見せたいというのがありますからね。だから、あくまでもナンバリング大会のPPVで放送されるものをWOWOWでも放送する予定です。

――あくまでPPVに準じる、と。
大村 だって、日本人選手が確実に出場する保障はないですから。これは、WOWOWのほかのスポーツ番組も同じですけど、このあいだのサッカーのヨーロッパ選手権にしたって日本人は誰も出ていない。それでもあれだけ盛り不がるわけですよ。以前は、大久保(嘉人)がマジョルカにいましたけど、それは結果的なものですからね。テニスも日本人では錦織(圭)や杉山(愛)が活躍してたりしますけど、(ロジャー・)フェデラーだ、(ラファエル・)ナダルだ、(マリア・)シャラポワだというトップの外国人選手が最終的に中心になっています。ボクシングでも、だいたいWBA、WBC、IBF、WBOの4団体で年間150試合ぐらい放送してますが、そこに日本人が入ってくるケースはあまりありません。

――日本人が試合するとなっても、それは民放で放送されるパターンがほとんどですしね。
大村 そう。それはもう「どうぞ、やってください」ということですからね(笑)。だから、我々はとにかく世界トップクラスのものを放送する。それが基本です。

――スポーツという部分でいうと、格闘技はなかなか完全なる競技として見られてない部分があるじゃないですか。その部分はどうですか?
大村 でも、UFCの成り立ちを考えると、ネバダ州アスレチックコミッションでボクシングを担当していたロレンゾがUFCを買い取ったときに、「ボクシングと同じようにアスレチックコミッションが認可できるような団体にしていこう」としたのがUFCでしょ。だから、よりスポーツライクになる。そこに僕らも共鳴できたんで放送を始めたんですよ。実際、そのとおりに進化してきてますしね。

――ただ、UFCも去年の状況とは違ってる部分もありますよね? たとえば、今度ヒョードルがアフリクションに出るとなったときに、急きょダナ・ホワイトがアフリクションが行なわれる7月19日同日にUFCを開催するということで、昔ながらのわかりやすい興行戦争を打って出るというようなことが行なわれたりしますけど、そういう部分についてはどう思いますか?
大村 うーん、UFCはそんなことで焦らなくてもいいと思いますけどねえ。

――まあ、そうですよねえ(笑)。
大村 PRIDEを買い取ったりもしましたけど、王道なんだから、でんと構えていればいいと思うんですけどね。

――UFCのイメージって、大村さんが言われたようなスポーツライクであるというのがファンのあいだでも大部分を占めると思うんですけど、やっぱりたまに慌てますよね(笑)。
大村 ジョー・シルバ(UFCのマッチメーカー)とかはかなりの情報を持ってるでしょ。何も知らないというのが一番恐いと思うんですけど、情報は集めてるわけだからぜんぜん恐いことはないと思うんですけどね。

――今度の8・9『UFC87』ミネアポリス大会ですけど、興行の目玉として地元スターにして、プロレスラーのブロック・レスナーが投入されます。そういったアメリカの“興行論”は許容できますか?
大村 そこは結局彼らがどういう闘い方をするかだし、要するに日本国内の選手でもいろんな団体の選手たちが最後はUFCに出たいって言ってるわけじゃないですか。それがすべてだと思うんですよ。で、出るからにはそれなりの覚悟を持って出ると思うし。

――イベントとしての軸はブレてない、と。
大村 まあ、慌てる慌てないというのは、ひょっとしたらある種のポーズなのかもしれないですしね。それがダナの役目なのかもしれないしね。だって、ダナは選手より人気があったりするわけでしょ? だから、過激なことを言って広告塔の役目をはたしてるのかもしれないですよね。

――ある意味、谷川さんみたいな感じなのかもしれないですね。
大村 そう。サダハルンバみたいですね(笑)。

――イメージキャラクターでいうと、昔、WOWOWさんでリングスを放送されてたときはイメージキャラクターとしてディック・フライやヴォルク・ハンがいたと思うんですが、今度UFCを放送するにあたって看板にしたい選手っていますか?
大村 いえ、ないです。もう、UFCそのものが看板ですから。選手ダテでいくと、スポーツライクな部分が失なわれがちになりますからね。UFCで行なわれるものが最高峰の闘いだし、もちろん注目選手は出てくると思うんですよ。ただ、8月〜9月の番組のタイトルは「UFC IS BACK! UFC名勝負選」なんですよね。要するにUFCが一人称なんですよ。そのタイトルこそUFC自体を訴求していくという意志の現われですよね。

――UFCそのものが看板である、と。
大村 UFCって進化してるし、UFC自体、ソフトとしてかなりのバリューを持ってますんで、そこを軸にするだけですね。で、我々が考えてるのは、もう少し視聴者の層を厚くしたいという部分ですよね。

――以前はどういう層がメインの視聴者だったんですか?
大村 まず、ボクシングでいうと50〜60代の男性がメインなんですね。

――意外と高年齢ですね。
大村 もちろん20代、30代も観ますけど、メインはやはり50〜60代。で、格闘技になると微妙にずれてて20〜40代というところなんですよ。だから、お互いの視聴者がミックスしてくれれば相乗効果が生まれていいのかなとは思うんですけどね。もっと言えば、女性層にも観てもらえるような番組にしていきたいな、と。

――女性層を獲得するのはホントに難しいらしいですもんねえ。他団体でもそういう話を聞いたことがあるんですけど。
大村 日本の格闘技の会場ってどうなんですか? やっぱり男性ばっかり?

――いや、女性もいますけど、一緒に観に来てるという感じですかね。K─1MAXとかだったら自主的に来てる女性は多いですけど。
大村 まあ、アイドルを見るような感じだからね。でも、なんとか女性に観てもらいたいなあ。

※明日21日はエキサイティングなUFC放送の内容に迫る!

おおむら・かずゆき■1960年4月11日、山梨県出身。映像関係の実務経験を活かし、90年、WOWOW立ち上げに参加。現在はスポーツ部のチーフプロデューサーを務め、格闘技の放送ではリングス中継の初頭から関わっている。

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