漁船燃料油の高騰を受けて十五日、全国で行われた一斉休漁。岡山県漁連は十四日から二日間で、漁民の窮状が大々的に報道されました。
今回の“引き金”は、四年前の約二倍に跳ね上がった油代ですが、背景にはさまざまな要因があります。
経済部が二〇〇五年、「四季彩々 ―おかやまの旬を追って」と題し、地方経済面に連載した記事を読み返してみました。魚や農産物の産地をルポし、生産や流通の現状を伝える企画です。
「漁獲は減少傾向」「ピーク時の十分の一」「十七分の一」―。
取り上げた十数種の魚介類のうち、大半の水揚げが二十年、三十年の間に大幅に落ち込んでいました。原因は藻場の減少や乱獲などが指摘されていますがはっきりしません。消費低迷による魚価の下落を嘆く声も。この状況は、いまも同じでしょう。
漁に出ても捕れない。販売価格は安い。そこに、燃料油高騰が加わるトリプルパンチ。このままでは、ただでさえ深刻な後継者不足に拍車が掛かりかねません。
岡山市中央卸売市場では十五日、ゲタやガラエビなどの卸価格が上昇。十八日までにほぼ平常に戻りましたが、予断はできません。原油価格の先行きが見えず、今後も出漁日数の絞り込みが予想されるからです。
私たちは燃料油の高騰は止められませんが、せめて魚を積極的に食べ、消費拡大につなげることはできます。海に囲まれた国で、魚介類が食卓から消えてしまわないように。
(経済部・大森知彦)