ダイバーの潜水記録をネットで集め、白化や死滅が進むサンゴの再生に役立てよう――。こんな試みを、鹿児島・与論島のNPO法人と九州大学が21日から始める。同島は年間約2千人がダイビングを楽しんでおり、得られた多くの記録をもとに、サンゴの実態把握や保全につなげる。
与論島の周辺は様々なサンゴが生息しており、全国からダイバーが集まる人気スポットの一つ。だが98年以降、海水温の上昇でサンゴが大きな打撃を受け、現在も十分に回復していない。年2回、ボランティアが潜水調査を続けているが、広い水域の状況は把握できていないという。
NPO法人「与論情報化e―○k」は、ダイバーが潜水後に書き残す潜水記録に着目。専用のホームページ(http://www.sango.ne.jp)を21日から公開し、各ダイバーに潜った地点や水温、潮の方向、サンゴの状態などを入力してもらうことにした。デジカメで撮影した画像なども登録できる。集まった情報を元にして、九州大の野島哲准教授らが進めているサンゴの再生研究に役立てるねらいだ。
同NPO事務局長の植田佳樹さんは「ダイバーが参加して詳しい情報が得られるのが大きな特徴。将来はほかの生き物も含め、温暖化の影響なども調べたい」と話している。(高山裕喜)