国際フォーラム
「グローバリゼーションと女性への暴力」
日時:2004年 9月28日
会場:長崎市男女共同参画推進センター・アマランス
このフォーラムでは、人身売買、移住女性への暴力などに先進的に取り組んでいらっしゃる
2人のアメリカ人の女性を講師に招き、これらの課題について、
日本とアメリカでの実情と今後の取り組みの方向性について、
お話をいただきました。
国際的な女性の人身売買の実態は、やはりショックです。
アメリカの市民団体の力も感じました。
約50名参加。男性7名。
地味な内容ではありますが、盛況でした。
まず、アジア女性センター(福岡のNPO)の堤かなめさんから、
日本における外国人女性の人身売買の状況について説明があり、
その規模の大きさに非常にショックを受けました。
特に、フィリピンから興行ビザで出国する女性の渡航先の100%近くは日本であり、
売春など、性産業で働くことを強制され、さらにDV被害を受けることが多いとのことで、
日本人の人身売買に対する意識の低さを指摘されました。
ノーマ・ティンバンギさんは、
人身売買が『結婚斡旋業』などと称されて、様々な形で行われていること、
移民女性がDV被害を受けた際、経済的問題や言語の違いから、
被害者が状況をうまく説明できず、警察の対応が適切に行われない等、
日本でも同様の被害があることをうかがわせました。
また、現在もシアトルのシェルタースタッフとして活躍しているジュディス・パンラシギさんは、
アメリカにおけるDVの現状と、シェルターでの援助方法や、法律について説明してくれました。
14〜17歳の女児の40%がボーイフレンドから身体的暴力を経験しており、
女性が救急車で運ばれる最大の要因は、DVやデートDVであり、
事故・強盗・レイプを合わせた数よりも多いことが、統計でも示されているようです。
また、アジア女性センターの本多さんは、
日本においても移住女性に対するDVの相談はここ数年非常に増えており、
被害を受けた女性について、
「身体的暴力だけでなく、国籍や在留に関わる法律問題が複雑に絡みあっている」と説明し、
支援の難しさを訴えられました。
そのような現状において、講師の方々は皆、積極的に啓発活動を行い、
被害者の支援活動に力を注いでいるのでした。
その力強いパワーに圧倒されながらも、
女性への暴力の問題が国を問わず共通したものであることを再認識するとともに、
今後も地道にDV防止活動を続ける必要性を改めて感じずにはいられないのでした。
このフォーラムは、アジア女性センター、福岡市アミカスとの共催により、 長崎市アマランスの「市民企画講座」として開催しました。
[DV防止ながさき通信グリーントマト第4号(2005.2.1)より]