■ 参加報告
 
透明人間としての外国人 〜 T・ラズロさんのお話
日時   8月18日(金) 19:00〜21:00
講師   トニー・ラズロさん
参加者   22名 (男性7名、女性15名)
報告者   清家
  
講義概要
  • 外国人は、日本の国籍をもっていなくても、住民であり、納税者である。
  • 日本の総人口のうち、外国人の割合は1.1%で、先進国の中では低い割合である。
  • 住民票には外国人は記載されず、日本人と結婚した外国人の配偶者は、住民票上はわからない。
  • 住民票は、日常生活で身分を証明するために使用され、住民のためのものだが、なぜ外国人は住民票に記載されないのか? それは、戸籍に書かれている人でないと住民票に記載できないと、法令上解釈されているからだ。
  • 世帯主であれば、住民票の備考欄に、戸籍でも日本人との配偶者として名前は載るが、登録としては透明人間状態。
  • 国連の人種差別撤廃条約上でも、この制度について問題視されている。
  • 住民票の管轄である自治省、業務を行っている自治体の理解が必要(外国人人口の多い自治体や市民がしっかり意識を持っている地域には、外国人の問題に積極的にとりくむ職員も多い)。
  • 日本の戸籍制度は、外国人の中でも賛否両論あるが、すべての人に不利益のない社会にするべき。
  • マニュアルばかりでなく、ニーズに合わせた対応を考えていく必要がある。
 
講義の様子
   
質疑応答
Q1. 外国ではどのように登録されているのか?
→ 一般的に日本のように家族単位での把握ではなく、個人として捉えている。
Q2. 外国人の配偶者が家族であることを証明する方法は?
→ 住民票と外国人登録証の住所で一致させる(例:銀行の家族カード作成のため、住民票が必要と言われた)。証明になるものを一つ作れば前例となり、別の手続きの際にも使用できる場合もある。
Q3.日本人の夫が死亡したときの相続税の免除は、日本人と同じなのか?
→ おそらく同じである。
講師のコメント
  • パスポートを持っているから来たというより、このために来たという意識の高い、熱心な参加者が集まった。
  • 今回、はじめに多文化探検隊の開催趣旨を説明したが、これはとても大切なことで、今後のイベントでもぜひ説明した方がいい。
  • 最近は国際交流のイベントも多いけれど、この多文化探検隊のように、外国人自身が企画にたずさわっていくことは重要。非常におもしろい取り組みだと思う。
トニー・ラズロさん

参加者アンケート結果 (国籍、性別、年齢、職業)
○ 日本、女性、49、会社員
「住民票に外国人の人が載らない」という事実を知らなかったので驚いた。まだまだ、日本は基本的には外国人排除の国だと思うので、変えていく努力をしなければならない。1時間30分では短かった。2時間あれば良いのに。

○ 日本、女性、44、地方公務員
T・ラズロさんが、どうしたらこの住基制度、戸籍法の良い点を生かして、どうしたらジェンダーにマイノリティーなるかと考えて実行しているところに感動しました。役所に日本に外から意見を云っていくことがとても重要だと思いました。
現実に不便さを云っていただけてとても良く判りました。
この企画を考えた方達は素晴らしい。今、なぜ一緒に楽しく暮らせないのかということを考えていくきっかけとしても、まず知ることで問題が見えてくるので、第一歩だと思いました。

○ 日本、女性、37、OL
外国人が住民票に記載されていないことは、学校の戸籍法の時間に習いはしましたが、実際に当事者がこのように不利益をこうむっているとは全く知りませんでした。どう考えても、同じ日本国内に住んでいるという事実があるのですから、外国の方であろうが日本人であろうが、統一された日本の素晴らしい戸籍と住民票登録制度に、日本側からお願いして外国籍の中に入って頂くのが普通だと思います。せっかく日本人と結婚して下さった心の温かい外国籍の方々を、子供の仲間外れのいじめのようなやり方で、むやみに傷つけるべきじゃないと思います。

○ 日本、女性、43、出版
これまで気がつかなかった日本の不平等な慣習、法律をあらためて教えていただいて、面白く、ためになりました。国際化はとおーい。

○ 日本、男性、37、無職
まったく初めて聞く話でしたので、勉強になりました。たいして理由のない事項に対して、役所等に行政の改革を求めるには、こんなに困ってますというよりも、改革すれば役所にとって利益がありますよという点を探して要求するのが一番だと思います。役人とはそういうものです。

○ 日本、女性、23、アルバイト
とても分かりやすかったです。国連の勧告が出ることを願っています。

○ 日本、女性、22、大学生
このようなイベントがもっとあったらいいと思う。
住民票の問題は私が関わっているNGOの間でも(在日外国人の子供を支援する)、子供が心理的なショックを受けた例が報告されており、親に対して不信感を抱いてしまったりしています。子供のことも考え、このような問題が良い方向へむかうことを期待します。実際に一個人としてどのようにすれば良いのか、わかりませんが、このような事実を知り、問題意識として持ち続けていきたいと思います。

○ 日本、男性、43、会社員
わかりやすい話でした。内容はビックリしました。全然知らなかったことでした。周囲でも、国際結婚が増えているのでショックでした。

○ 日本、女性、51、著述
具体的な話がわかって、非常に興味深かった。

○ 日本、男性、49、公務員
戸籍自体をなくそうという動きのある中で、逆の発想であり、どうなのかなと思った。

○ 日本、男性、48、公務員
住民票のことははじめて知りました。

○ 日本、女性、26、学生
遠い世界のこととして捉えていた問題ですが、身近に存在する人たちにとってはとても重大な問題であり、これからしっかりと考えていきたいと思います。

○ 日本、男性、46、公務員
日々眼を向けていない所だったので、あらためて重要な点に気づかせてもらいました。色々な要素が複雑に絡み合っていて時間がかかるかもしれないが、改善を図りたいですね。

○ 日本、女性、25、看護婦
はじめて戸籍について考え、やはり「いらない」と感じました。しかしある以上は、外国人にも平等に扱われる権利があると思う。それは日本だけでなく、人権の問題であり、人類みなで考えるべきだと思う。

○ 日本、男性、23、フォトジャーナリスト
このテーマについて興味をもってきました。もう少し質問の時間を長くとれて、討論を参加者の間で交わせたら楽しかったと思う。自分のように初めて参加する人の意見を聞きたかった。

○ 日本、女性、30代、会社員
参加者同士の、自己紹介や関心事などが交流できればなおよい。

○ 日本、女性、51、公務員
日頃当たり前に過ごしていたりする戸籍や住民票による差別をあらためて認識した。すべて勉強になった。外国人との共生は根本的な戸籍のところから変えていかなければ、本当の国際化は実現できないのかも知れない。ある面では。