サミットでは食糧安全保障に関する特別声明に、GM技術を含む「バイオテクノロジーの促進」を盛り込んだ。
異なる種の遺伝子を利用して、まったく新しい種を生み出す遺伝子組み換え。夢の技術として期待を集める一方、自然界になかった存在を生み出す「フランケンシュタイン技術」として人の健康や生態系への悪影響が心配され、賛否の対立が続いてきた。
その均衡を破るかのように、気候変動問題などを足がかりにGM推進派の攻勢が始まった。
英国の農業コンサルタントPGエコノミクス社は、GM作物の栽培で、06年には乗用車650万台分に相当する二酸化炭素(CO2)約1500万トンが世界全体で減ったとの試算を公表した。雑草を除くのに畑を掘り起こす必要がなく、農薬の散布回数も減るため、土中からのCO2排出や農機具のエネルギー消費が抑えられるという。温暖化被害に対応し、干ばつや高温に強い作物の開発も各地で進められている。
フィリピンの国際イネ研究所(IRRI)のロバート・ザイグラー所長は「今こそ遺伝子革命が必要だ」と力説する。「世界を救える技術があるのに規制して使わないのは犯罪に近い」とまで言い放った。(庄司直樹)
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7月20日付朝日新聞朝刊2面に関連記事が掲載されています。