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2008年7月17日 (木)

企業買収もNGOが絡む時代

ネットで調べものをしていたら、おもしろい記事を見つけました。
アメリカ在住(らしい)のコンサルタント、cloudgrabberさんのブログ記事です。
M&AにNGOが絡む話です。

ブログ記事は、JPモルガン・チェース銀行とAspen Instituteが主催するビジネスプラン・コンテストの話ですが、ここで課題として取り上げられたケースがおもしろいです。こんな内容です。

課題の内容は、企業買収ファンドの大手であるKKRとTPGが、昨年TXUという石炭火力発電所で悪名高い電力会社を買収した実際の事件に基づいています。設定は、買収準備の最終段階で、ファンド側が、TXU批判の最先鋒に立つNGOであるEnvironmental Defense Fund (EDF)とNational Resource Defense Council (NRDC)に交渉を申し込んできた時点になっていて、我々に与えられた任務は、前代未聞の事態に戸惑うNGOに、以下の点を考慮しながら交渉戦略をアドバイスすること。

  1. NGOが買収に賛意を表明することが、ファンド側にどのような経済価値をもたらすか
  2. それを交渉材料にして、どのような環境を配慮した譲歩施策を要求するべきか
  3. 最大限の効果を引き出すためには、交渉はどのように進めるべきか

これは非常におもしろいケースです。

多くの日本人にとっては、企業買収ファンドとNGOというのは、真逆の存在であると思っているでしょう。
しかし、アメリカでは企業買収の有利なカードとしてNGOを利用しようとしている。
これはグッドニュースです。

何故なら、ファンドがNGOを利用したいということは、NGO側にもファンドを利用するチャンスがあるからです。

事実、この課題は、NGO側の視点に立って考えることを要求しています。

金融資本主義の権化でもあるJPモルガン・チェース銀行が、こんな課題を出してくる。
そして、この課題に挑戦するのは、一流のビジネススクールの学生です。

出場権は招待校に限られていて、今年は以下のビジネススクール8校が参加しました。

コロンビア大学
ダーデン (バージニア大学)
ハーバード大学
ケロッグ (ノースウエスタン大学)
ロス (ミシガン大学)
スターン (ニューヨーク大学)
タック (ダートマス大学)
ウォートン (ぺンシルバニア大学)

今回、これら一流ビジネススクールの学生が、企業買収という生臭いケースを活用してNGOのミッションに役立つプランを考える。そして、卒業した後は、実際のビジネスの場で、今回の経験を活かして、非営利セクターを活性化させていく。

考えただけで、そのスケール感にワクワクしてきます。

新自由主義経済が格差社会を作ったのは事実ですが、そのことを批判ばかりしていても、現実は何も変わりません。
むしろ、金融資本主義の論理を逆手にとって、大きな社会貢献活動を実現していくことが大事なのでしょう。(竹井)

リンク: convisage: JP Morgan Leadership Case Competitionで優勝!.

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