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2008年7月16日 (水)

排出権取引の裏側

洞爺湖サミットもとっくに終わりましたが、いまだに釈然としないのが排出権取引のことです。
僕は、陰謀史観というのはあまり好きではないのですが、世の中には表に出てこない真実というのも数多くあり、何が真実なのかを推測しておくことも大事かもしれません。
それで、排出権取引について考えてみました。

排出権取引については、アメリカのヘッジファンドの所業を知り尽くした投資家・実業家の原丈二さんが、
「これは、サブプライムローン問題以上の大問題を引き起こす」
と警告を発しています。

マネーゲームの対象となって、本来、期待されていた役割を果たすことなく、世界経済に悪影響をおよぼすだけだという主張ですね。

僕は原さんと違って、アメリカのヘッジファンドと戦ったこともなく、排出権取引に関わるプレイヤー達が本当のところ、何を考えているか知りません。

しかし、断片的な情報から推測できることはあると思います。

ネタ元は、週刊東洋経済7月12日号「地球はホントに危ないか?」特集です。

排出権取引の世界では、二つの重要なプレイヤーがいます。

欧州気候取引所と、ICPP(気候変動に関する政府間パネル)です。

東洋経済の特集を見ると、欧州気候取引所のサンダー会長という人は、シカゴ先物市場のトレーダー出身とあります。

シカゴ先物市場といえば、新自由主義経済と唱えたシカゴ学派のお膝元。
シカゴ学派のスターは、あのミルトン・フリードマンです。
で、新自由主義経済が格差社会を作ったと言われています。

そんなシカゴの先物市場でトレーダーをやっていた人が会長です。

一方のICPPは、ご存知、アル・ゴアと共に昨年のノーベル平和賞を受賞しました。

ここの議長は、ラジェンドラ・パチャウリというインド人です。

これまた東洋経済によれば、パチャウリ氏はインドのエネルギー政策の権威だそうです。

ところで、何か大きなモノごとの裏側で、何が起きているのか分からないけど知りたい、そんな時に有効な方法があります。

それで得するのは誰なのか?
ということを考えることです。

では、排出権取引で得をするのは誰なのか?

そんな視点で、お二人の経歴、立ち位置を眺めてみてください。

そして、ここでもう一つ、前述の原丈二さんが「WEDGE」2008年6月号に寄稿した論文から少し引用しますので、ご覧下さい。

将来的には、排出量取引が全世界に広がり、森林などの吸収源を多く持ち、エネルギー効率の改善にも余裕がある、途上国の莫大な排出枠が、証券化などの金融工学的手法とあいまって盛んに取引されることになるだろう。

ああ、そういうことなのねと考える僕は、ちょっと陰謀史観に毒されているのでしょうか?(竹井)

 

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 くたばれ福田康夫。くたばれ環境省。もう少しして盛夏になると、東京都心で環境大臣 [続きを読む]

受信: 2008年7月17日 (木) 01時33分

コメント

この問題は、勉強してないのでコメントのしようがないので、質問をひとつ、いいすか?

企業(工場かな)の所在地が日本でなく、海外の新興国にあったら、
その削減義務は、そっちの国にあるんでしょうか?

だったら、この取り組みは
工業の生産拠点を地球的規模で新興国にシフトさせる壮大な目論見といえないでしょうか?

これは、いよいよ国境を有名無実にして世界単一ワールドをつくる端緒であって
そちらの方が陰謀と言えば陰謀でsweat01

金融筋がちょこまか利ざやをかせぐのは、大きな変わり目に尻馬にのって目端のきく奴が儲けるという側面にすぎないと
考えることはできないんでしょうか?

いずれにしても
排出権取引で地球が持ち直せるとはまったく思えないですけど

投稿 大浦 | 2008年7月16日 (水) 20時42分

こんにちは♪

>企業(工場かな)の所在地が日本でなく、海外の新興国にあったら、
>その削減義務は、そっちの国にあるんでしょうか?

すみません、
調べておきます。

実は、僕、環境に関してはちょっと弱いんですよ。
比較的にってことですけど。

ただ、

>だったら、この取り組みは
>工業の生産拠点を地球的規模で新興国にシフトさせる壮大な目論見といえないでしょうか?

これはどうでしょう?
ほっといても、工業生産は途上国にシフトしていってますし。

>排出権取引で地球が持ち直せるとはまったく思えないですけど

前日、環境問題の専門家とメシ食った時も、断言してました。
排出権取引は、何の役にもたたないと。

投稿 竹井善昭 | 2008年7月18日 (金) 11時08分

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