2008年07月18日

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キリスト教会の「カルト化」

◆神の仲介者が信者を虐待

黒く重たい業務用のフライパンを両手で持つと、男はそれをカナコさんの尻に打ち付けた。

「あいさつが悪い」

ハレルヤコミュニティーチャーチ(HCC)浜松教会(静岡県浜松市)の狭い台所に、バスッという鈍い音が響いた。

「この苦しみには神様の意図があると信じていました。暴力は訓練であって、それに耐えることで、人格が形成できるのだと思っていました」

そう考えたのには理由があった。カナコさんに暴行を加えたのは、神の代弁者と仰ぐ牧師だったからだ。

◆カルト化する教会

暴力や虐待とはおよそ無縁に思えるキリスト教の教会。国内約7700あるとされる教会の多くは、おそらくそうしたよいイメージがあてはまるはずだ。しかし暴行や人権侵害が横行する教会が存在するのも事実だ。そこでは、牧師への服従が絶対の「小王国」が築かれ、「マインドコントロール」や「カルト化」が広がっている。

信者は、牧師に批判的な考えをもつことは不信仰だと考え、理不尽なことが身に降りかかっても、非は自分にあると思う。信仰が足りないという牧師の言葉を素直に受け入れ、牧師への忠誠を一層強めていく。

◆正統性がウリ

こうした教会がなぜ生き延び続けるのか。

ひとつには、いずれも「正統」なキリスト教会であることを掲げている点が指摘できる。HCC浜松教会の牧師は、

「我々の教会をみてカルトなどと言う人はいない」

と強調する。

教会らしい建物をもち、聖書をひいて言葉を吐く牧師を、純粋な人は信じ込んでしまう。また、信者が増えたり、教会が立派になったりして、勢いを感じさせることも、人々を引きつける理由のようだ。






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