紫電改紫電改
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引き上げ風景
引き上げ風景
貝殻を取り除いた状態
貝殻を取り除いた状態
主翼を修理する技術者
主翼を修理する技術者
曲がったままのプロペラ
曲がったままのプロペラ
復元された紫電改
復元された紫電改
和53年11月、愛媛県南宇和郡城辺町久良湾水深40mの海底に、1機の戦闘機が沈んでい るのがダイバーにより発見されました。翌54年7月14日、旧海軍戦闘機「紫電改」はほぼ原型をとどめた状態で引き上げられました。
ほぼ原型をとどめているとはいえ、30余年間海水に曝された機体は腐食してボロボロ。プロペラは曲がり、左の水平尾翼は 折れ、貝殻やフジツボがびっしりこびりついた胴体には無数の弾痕が残っていました。
愛媛県はこの紫電改を永久保存することに決め、補修を製造メーカーである新明和工業(旧川西航空機)に委託しました。
社にこの補修話が持ち込まれたのは同年8月半ばのこと。
当社がPS-1型機において新明和工業の協力会社であったこともありますが、なにより戦中より水雷の部品を手がけている 経験、また戦後においても評価の高い航空機製作技術を買われてのことです。
「なるべくこの形を残して」という遺族らの願いもあり、ボディの張替えなど全面修復はせず、このままの形を残すことにな りました。原型保存というむずかしい注文に当社は7人の技術者を選りすぐって送り込みました。
業はまず機体をていねいに水洗いすることから始まりました。腐食されて崩れやすくなった機 体を壊さないよう、慎重に貝殻をこそぎ落とします。非常に神経を使うやっかいな作業です。
主翼、尾翼、エンジンカバー、車輪など分解できる部分はすべて慎重に解きほぐします。紫電改の特徴である20ミリ機関砲 も取り外されました。さらに各部分を蒸気洗浄し、ひとつひとつていねいに磨き上げ、さび止め剤を塗りました。
そして再組立。主翼と胴体の結合部骨組みを小松島工場で作った部品で補強、折れた左水平尾翼を修理し、弾痕を埋めます。 主脚と尾輪を引き出して完成。見事空の勇者はよみがえったのです。
長9.35m 全幅11.97m 全高3.96m 重量4,000kg
エンジン中島誉二一空冷18気筒1,825馬力 最大速度596km/h
紫電改(川西局地戦闘機「紫電」二一型 N1K2-J)は第二次世界大戦末期に開発された旧海軍の戦闘機で、当時としてはゼロ戦を上回る最高性能を誇りま した。
昭和20年7月24日、松山三四三航空隊所属の紫電改21機が大村基地を飛び立ち、豊後水道上空で米軍機と交戦しまし た。この機体はその時の未帰還機6機の内の1機と考えられています。パイロットは着水時に戦死したと推測されます。(ご冥福をお祈りします。)
在、この紫電改は貴重な資料として愛媛県南宇和郡御荘町で大切に展示保存されています。機 体に残る壮絶な戦いの跡を見るにつけ、私達は紫電改が飛ぶ時代が二度と来ないことを願ってやみません。
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