川西 N1K2-J 紫電改・・・食玩の1/144模型を見ながら作画。白黒2色2階調の点描画風の描き方にトライ。
白黒は、加筆すればするほど、色々な可能性が見えてきて、これは面白いゾと思ったり、一筋縄ではいかないなぁと、もがいたり、描いていて案外面白かった。 紫電改は、子供の頃は「ゼロ戦の後の期待のホープ♪」のイメージ。 なんとなくヤな形のような気もしたが、これはこれできっとカッコイイのだろうと思い込むことにしていた。 今、あらためて見ると、どうも、あまりカッコ良くはないような気がする。空力的にもロスのある形状なのかもしれない。 カタログデータ通りの力の出ない故障しがちなエンジンと機体工作技術の低さということもあって、当時、第一線機としては旧くなってしまった零戦五二型に較べてみても、いくらか撃たれ強いという以外は、戦闘能力は特に優れているわけではなかったとの評価もある。 紫電改の売りのひとつは層流翼型。(他にも「自動空戦フラップ」などのギミックもあるけど...) 一般的に層流翼型とは、翼の最厚部が前縁から40〜50%と通常の翼型より後方寄り。魚を上から見た形状とよく似ている。自然の摂理に適っているような翼形だ。 これにより層流領域は後方まで延びる。乱流領域は減り、翼表面の摩擦抵抗を抑えられる。巡航能力向上の可能性がある。 しかし、層流翼型の特性を活かすためには、翼表面の平滑さが重要になるが、当時の工作技術にはそぐわないだろうし、常に良いコンディションを保守するのは困難。むしろデメリットが多かったのかもしれない。 層流翼型の欠点である、最大揚力係数の低さ、失速特性の悪さは、確実に伴ってくるであろうし。 当時、単に速度を稼ごうとするならば、スピットファイアのような薄翼を選んだ方が、効果は確実だったかもしれない。 N1K2-J 紫電二一型(紫電改) 全長:9.35m 全幅:11.99m 全備重量約4,000kg 発動機:「誉二一型」18気筒星形1,990hp×1 最大速度:596km/h、航続距離1,715km、上昇時間:6,000m/7分22秒 武装:20mm機銃×4、爆弾60/250kg×2 乗員:1名 水上戦闘機「強風」を陸上戦闘機化した「紫電」を元に、主翼を中翼から低翼に改めるなど大幅に改修した機体。「紫電二一型」 1945年1月に正式採用。最重要機種として大量産される予定であったが、戦闘機の経験が浅く工場設備の不足していた川西の生産力の低さと空襲等のため、生産数はわずかに400機程度だった。 ベテランパイロットを多く集めた松山の三四三航空隊の活躍、特に3月19日の空中戦における、米艦載機52機撃墜は有名。 しかし、この日の米軍の損害記録は、これよりかなり少なく、精鋭三四三空が人員資材共に好条件だった時に、ようやく、並のレベルの米空母のグラマンと互角というのが現実に近いのかもしれない。 量産が進むと共に、エンジンや機体の製造技術は低下し、終戦を迎える以前に実戦能力は下火となってしまった。 |
著作者:たま、/児玉智則。
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