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今週の本棚・新刊:『日本の医療制度改革がめざすもの』=辻哲夫・著

 (時事通信社・1995円)

 厚生労働省の前事務次官が、今春スタートした医療制度の理念や全体像、改革にかけた熱い思いを綴(つづ)った。改革を仕切った官僚のトップが何をめざしたのかが伝わってくる。

 後期高齢者医療制度については「医療費削減のための高齢者切り捨て」との批判が噴出した。これに対しては、糖尿病など生活習慣病を予防し、国民の健康をより良くして医療費の伸びをマイルドにするのが改革の狙いと冷静に述べる。

 保険証1枚で、いつでもどこでも医療が受けられる。この国民皆保険制度によって世界有数の長寿国になったが、一方で医療費が膨らみ、医療をはじめ社会保障に対する将来不安が日本を覆う。医療の将来を考える際、改革の当事者が著した本書は基本的な文献となる。(稲)

毎日新聞 2008年7月20日 東京朝刊

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