事件・事故・裁判

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録
はてなブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷
印刷

埼玉・川口の父親刺殺:中3長女、前日一緒に買い物 母親「仲よかった」

 埼玉県川口市の私立中学3年の長女(15)が父親(46)を刺殺したとされる事件で、母親(49)は県警武南署の調べに「父親と長女は仲がよかった」と話している。長女と父親は事件前日に一緒に買い物にでかけ、カレーを作っていた。一方で、長女は「両親に勉強しろと言われると、やる気がなくなった」と供述している。学校によると最近は成績が下がり気味だったが、他にトラブルがなかったかを含め動機の解明を慎重に進める。

 調べでは、長女は両親と小6の弟(12)の4人家族。長女は19日午前3時ごろ、寝室で寝ていた父親の胸などを、文化包丁で刺して殺害した疑い。3部屋に分かれて寝ていて、父親と弟が同じ寝室だった。司法解剖の結果、傷は胸と額の2カ所。死因は肺を刺されたことによる出血性ショックだった。

 調べに対し、長女は当初、「お父さんが家族を殺す夢を見た」という趣旨の話をしたが、その後は「上半身を2回ぐらい刺したが、後のことは気が動転してよくわからない」。父親については「普段から会話はあまりなかった」と話している。勉強するよう注意されても言い争ったことはないという。

 母親の警察への説明によると、長女と父親の仲はよかった。18日は父親は仕事が休み。昼間に父親と長女、弟で買い物に行き、夜は、父親と長女が作ったカレーライスを家族で食べた。その後、両親と長女はビデオを観賞。弟は勉強していた。【浅野翔太郎、小泉大士、山崎征克】

 ◇将来の夢は薬剤師

 長女が通っていた埼玉県内の私立中学は事件を受けて19日午後2時から校長らが会見した。

 それによると、ほとんど学校を休んだことはなかったが、18日の英会話の追試験を無断欠席したため、担任が自宅に電話すると、弟が「姉は風邪で寝ている」と説明したという。終業式は22日の予定。

 成績は中ぐらい。2年の初めまでバスケット部だった。将来の夢について、入学時や1月にあった担任らとの面談では「薬剤師」と伝えていた。教頭は「製薬会社に勤める父親を尊敬していると思った。かなり勉強しないと難しいぞと言うと、『頑張ります』と答えた」と話した。

 現場のマンションは川口市北部の住宅街にある。7階建てで約70世帯が入居。小学校が同じで別の中学に通う女子生徒(13)は「優しくて頭がよかった」と驚いた様子だった。家族の知人は「18日午後に父親と長女、長男が外出先から帰宅する姿を見かけた。仲がよさそうだったのに」と話した。【稲田佳代、弘田恭子】

毎日新聞 2008年7月20日 東京朝刊

関連記事

事件・事故・裁判 アーカイブ一覧

 

おすすめ情報