無登録で法外な金利をとる「ヤミ金融」への対策として、警察庁は18日、借り手は元金も返さなくてよいことの周知を徹底するよう、全国の都道府県警に指示したことを明らかにした。旧五菱(ごりょう)会によるヤミ金融事件を巡る6月の最高裁判決を踏まえたもので、被害者から相談を受ける現場の警察官に周知徹底する。
金融庁で同日開かれた政府の多重債務者対策本部の有識者会議で報告した。
最高裁判決は民法の規定に基づき、著しく高金利で違法な貸し付けをした業者について「借り手は利息だけでなく元金も含めて、支払った全額を損害として取り戻せる」との初判断を示していた。
都道府県警はヤミ金融の被害者から相談を受け付けているが、これまでは警察官が「せめて元金ぐらいは返しなさい」と返済を促すケースもあった。
警察庁は最高裁判決が出た後、すぐに相談用マニュアルを改正。「借りたものは返せとは言わないこと」などと明記し、被害者側の視点に立った対応を求める。有識者会議のメンバーである宇都宮健児弁護士は「マニュアルの改正は一歩前進だが、現場への浸透が今後の課題」と話している。