BSE:「検査済み安全」PR表示ダメ 牛肉で公取委判断

 生後20カ月以下の牛に対するBSE(牛海綿状脳症)検査に関し、食肉業者などが「検査済みで安全」とPRした場合、公正取引委員会が景品表示法違反(優良誤認)に当たると判断することが分かった。現在、20カ月以下の牛は全自治体が検査しているが、今月末で国の補助が打ち切られる。さらに自主検査を続けるか対応が分かれる可能性がある中、検査の有無で安全性の差別化を図ることにクギを刺した形だ。

 BSE検査は、01年9月に国内初の感染牛が見つかって以降、処理されるすべての牛に義務付けられたが、05年8月からは対象牛が生後21カ月以上に緩和された。しかし、自主的な全頭検査の継続を表明する自治体が相次いだため、厚生労働省は今年7月までの3年間限定で、20カ月以下の牛の検査にも補助金を出していた。

 屠畜場(とちくじょう)を持つ76都道府県・市は、今年度は自主検査を続ける構えだが、来年度以降は未定の自治体が多い。一部が打ち切った場合、検査済みと未検査の牛肉の両方が流通する。このため厚労省は、表示の可否を公取委に照会。「検査済み牛肉の方が安全だと思わせる表示は、商品が実際よりも優れていると不当に誘導する『優良誤認』に当たり違法」との回答を得た。「検査済み」のみの表示は「消費者の受け取り方次第なので即断できない」(公取委消費者取引課)という。

 厚労省食品安全部は「20カ月以下の検査が不必要なことは、3年前に国の食品安全委員会で出た結論。横並びを意識して検査を続ける自治体もあるだろうが、差別化を図る表示はできないので、打ち切っても信用や評価が落ちる心配はない」と話す。

 一方、市民団体「食の安全・監視市民委員会」代表の神山美智子弁護士は「消費者が知りたい情報は出すべきだ。国は遺伝子組み換え食品に関しては、リスクに差がないとしながら『組み換えでない』との表示を一部認めており、均衡を失するのではないか」と疑問を投げ掛ける。【清水健二】

毎日新聞 2008年7月19日 15時00分(最終更新 7月19日 15時00分)

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