地上デジタル放送を視聴できる「格安」受信機(チューナー)が、来春にも店頭に登場しそうだ。中心部品のシステムLSI(大規模集積回路)の生産コストを半分にする技術をNECエレクトロニクスが開発し、今秋から国内のチューナーメーカーに供給する。現在、量販店で主流のチューナーは1万数千円するが、5千円程度での販売を見込んでいる。
地上波のテレビ放送は11年7月までにすべてデジタル化される予定。対応テレビへの買い替えなどは、生活保護世帯を除き、視聴者の自己負担が原則となっている。総務省は5千円程度の低価格チューナーの早期開発、発売を電機メーカーなどに求めてきた。
NECエレのLSIは、受信したデジタル信号を調整する部品と、信号を画像や音声に変換する部品を一体化。回路上の部品を半分に減らし、生産コストを抑えた。アンテナメーカーやパソコン周辺機器メーカーなどが、NECエレから部品供給を受けて低価格チューナー市場に参入する予定だ。「店頭で5千円での販売が十分可能だ」(NECエレ)という。(湯地正裕)