高知医療センターの民間委託(PFI)事業をめぐる贈収賄事件で、収賄の罪に問われた前院長の瀬戸山元一被告(63)の第4回公判が18日、高知地裁(伊藤寿裁判長)であった。証人として出廷した贈賄側のオリックス・リアルエステート(現オリックス不動産)元社員(69)=執行猶予付き有罪が確定=は、瀬戸山被告に贈った家具や家電の購入代金を病院本館の追加工事費用に紛れ込ませ、本館工事を請け負った竹中工務店に支払わせていた経緯を証言した。
弁護側の反対尋問で、松田被告は同社役員に対し「(追加工事費用の)4000万円近くを何とか面倒見てくれ」と依頼。その際「S邸家具家電」という項目などが書かれたメモを渡したが、それについて説明はしなかったことを明らかにした。さらに05年1月ごろ、同社から4000万円の処理の了解をもらい、「竹中(工務店)は4000万円に『S邸家具家電』代が入っていると認識していたと思う」と話した。
また、松田被告は「瀬戸山被告に贈る家具や家電の件で計2回、大塚家具と三越の社員と会合を持った」と証言。2回目の会合で大塚家具の社員から瀬戸山被告に贈る家具の見積書を見せられた際、松田被告が「表に出ないよう処理してほしい」と言うと、この社員は「分かりました」と応じたという。両社は病院本館にインテリアなどを納入していた。
次回公判ではオリックスの別の元社員=贈賄罪で執行猶予付き有罪が確定=が証人として出廷する。【千脇康平】
毎日新聞 2008年7月19日 地方版