(cache) 1/144イッチョンチョンの航空機

零式艦上戦闘機21型

中国戦線で大活躍した11型を艦載機にした形式です。艦載化にあたって空母のエレベータ幅に合わせて翼端が50センチずつ折りたためるように改良されています。太平洋戦争初期に無敵を誇った戦闘機として歴史にその名をとどめています。モデルはSWEETの零戦21型キットを組み立てたもの。2004年に発売された新しいキットゆえに考証とモールドは素晴らしく、サクサクと組み立てられました。成型色は新説であるややグリーンがかかった灰色となっています。この辺は時代とともに記憶があやふやになり、諸説飛び出すものであり、戦艦大和の船底色はグリーンだった、なんていう話と同様個人的には眉唾ものにも感じられます。塗料の配合表さえみつかれば一発なんでしょうが、そういったものは一部残されてはいますが、肝心の色シートが見当たらなかったり、変色していたりで色々と議論を呼んでいます....。ですので機体の塗装は一般的に市販されているクレオスの明灰白色を使っています。デカールは定評のあるイタリアはカルトグラフ社製のものが付属していますが、このデカール、やや厚手で機体にしっかりと馴染まないのが玉に瑕です。マーキングが付属しているので迷う楽しみがありますが、地元の鹿屋航空基地の飛行隊がラバウルに進出した当時のものがあったので、それにしました。

零式艦上戦闘機32型

エンジンのマイナーチェンジを行って最高速度と操縦性の向上を狙った形式です。従来の940馬力の栄12型に代わり、1130馬力の栄21型としエンジンカウリングを再設計するなど変更を施しています。21型まででの弱点とされた急降下速度の制限も667km/hに向上されました。外観上の大きな変化は21型の翼にある折り畳み機構を廃し、角型に整形している点です。これにより最高速度は向上しましたが、運動性や航続距離はダウンしました。投入された昭和17年初期には問題になりませんでしたが、18年ごろよりラバウル-ソロモン諸島への片道1000キロの戦闘飛行を強いられるようになると顕在化してしまいます。この戦訓をもとに22型が登場します。キットはアリイの零戦32型です。零戦と名が付けば何でも売れてしまうのか、これもバリが多くてガタガタのキットでした。機体のパネルラインが凸モールドで表現されているのが古いキットの印象を受けます。塗装指示がないのが困りモノです。プロペラは表側がクレオス赤褐色、裏はつや消し黒、カウリングは光沢のある黒、機体内部と引込脚の内側は青とシルバーを混ぜたブルーメタリック（青竹色）、などです。下にシルバーを塗った後明灰白色を塗りました。上の零戦21型と比べるとだいぶ機体の幅が狭い印象を受けます。

零式艦上戦闘機52型

運動力や攻撃力、速力を求められて防御を犠牲にされてきた零戦ですが、戦局の悪化で消耗も増えてきました。そこで翼内に自動消化装置を置いた他、推力向上のために排気管を一本化して速度向上を狙いました。タイプは多岐にわたり52型、52型甲、乙、丙の４つにもなっています。キットはミツワの製品ですが、ピトー管が右翼にあったり色々と妙な印象を受けます。主脚が短い気もしますが。こちらは大戦後期に登場したので昭和18年以降の暗緑色とクレオスの黄橙色の識別帯、明灰白色の塗りわけです。

二式水戦

二式水上戦闘機です。ゼロ戦11型をベースにしてフロートを取り付けており、通称下駄履きゼロ戦とも呼ばれます。進出先において基地建設が完了していない間、水上で離着陸することによって制空権を確保するという思想で作られており、その性能は大戦中に遺憾なく発揮されました。元々海軍は川西に水上戦闘機の製作を命じていましたが、製作が間に合わず、中島にゼロ戦の改修を命じて製作された、という経緯があります。そのため、あくまで”つなぎ”とする予定でしたが、川西の水上戦闘機強風の製作が遅れに遅れたために水上戦闘機の主役の座に収まったといった感がありました。海外でもF-4Fワイルドキャットのように主力戦闘機にフロートを取り付けて水上戦闘機にする、という目論見で試作は行われましたが、性能低下が著しく、軒並み失敗に終わっています。
折からの不況で失業対策として行われた公共事業において必要人数を出来るだけ確保するという名目で建設機械の輸入・開発が行われなかった、ということもこの戦闘機の登場を後押ししたかと思われます。
機体はマイクロエースのものですが、型はゼロ戦とは共用とならずに別個に開発されています。そのため型のヘタリがなくバリが見当たりません。パーツの合いも悪くなく良いキットであると思いますが、プロポーションに関しては大きいスケールの機体を組んだこともないのでよく分かりません。フロートに入る赤ラインはクレオスのモンザレッドを使用。あとはセオリーどおりの塗り分けです。

局地戦闘機　紫電21型

通称”紫電改”と呼ばれる局地戦闘機です。川西が製作した機体で水上戦闘機強風を陸上機にした紫電11型を改良して生まれました。11型では中翼で、脚を格納する際に伸縮機構を備えていましたが、この不調を改善するため低翼に変更したものです。これによって下方視界が良くなりました。 2000馬力エンジンを積み、水銀圧によって上下する自動空戦フラップを装備していました。昭和19年に採用され、艦載型など各種派生型が計画され、大和級戦艦の３番艦で空母に改装された信濃に唯一着艦した機種でもあります。松山の343空に集中配備され、呉を目指す米艦載機群と熾烈な戦闘を行ったことで知られています。キットはアリイのものです。エンジンと機体が合っておらず、謎の機体にみえますが、こればかりはどうにもなりませんでした。特徴を捉えているか、といえば機銃の出っ張りとか細かい部分だけでバランスが崩れていると思います。2004年秋に出たウィングクラブコレクションでSWEETが美しい機体を出しているのでそちらをお奨めします。

局地戦闘機　雷電

14試局地戦闘機の名称で昭和14年から開発がスタートした機体。前年には中国軍機が熊本・宮崎上空に飛来してビラを撒いていた事件があり、防空上重要だとされて開発されました。しかし発動機の不調もあって計画は伸びに伸び、昭和19年にようやく採用されました。当時最大出力を持つエンジンを装備したため、日本軍機らしからぬずんぐりとした機体が特徴です。B-29との本土防空戦を繰り広げました。機体はミツワのキットです。完成見本を基に作ったのですが、実際には風防から機首までが長いので反射防止のために前方が黒く塗られた機体が多かったようです。風防が合わない、という話もありますが、他のパーツの合いは他より優れていました。

99式艦上爆撃機

96式艦上攻撃機とともに太平洋戦争初期の武功の立役者です。愛知航空機が開発しました。艦上攻撃機が魚雷を抱いて水平攻撃をする一方、艦上爆撃機は爆弾を抱えて急降下爆撃を行うため、エンジンの能力以上に機体の頑強さが求められます。モデルはアリイのペアキットで、合い方は流星改です。他社のF-86セイバーや零戦21型が同一機体でワンパッケージになっている一方、アリイは異機種を入れているのでそれぞれ一長一短があると思います（同一機種だと初期/末期のように作りわけは可能なのが基本）。バリはそれなりに出ていますが、大戦初期ですと塗装は一色、しかも固定脚ですので製作は楽な部類になります。とはいえ、デカールは白縁取りが入った後期のものなので交換するか、ハサミで慎重に切り取るか、になります。私は後者を選びましたけど。ウィングクラブコレクションで97式艦攻も登場しましたので、塗装をそろえてSWEET零戦21型との艦載機三羽ガラスを揃えるのも面白そうです。

夜間戦闘機　月光

13試３座戦闘機として登場した当機でしたが、零戦並の戦闘能力など過大な海軍の要求には応えられずにひとまず二式陸上偵察機として採用されました。その後、小園安名中佐によって斜め機銃を取り付けた機体が登場。この機体が B-29などの重爆撃機の下面に潜り込み、戦果を挙げたことから、戦闘機への改修が決まり、全ての機体が変更されました。キットはアオシマの双発小隊によるもの。双発機の２機ペアキットで、貨物自動車が付属。機種によってエンジンスターター車など荷台のバリエーションで３つほどあるようです。戦前のバスの種車にも使えますね。自動車も２台同じものが付属しています。1/144の機体ですと、どうしても風防の透明度が他のスケールに比べて低い気がするのですが、こちらは文句なしの出来となっています。

二式大艇

紫電改で有名な川西（現新明和）が製作した大型飛行艇。96式飛行艇の開発に成功した海軍はさらに高速性能を向上させた飛行艇の開発を指示し、それに従って登場したのが二式大艇です。４発エンジンで幅全長とビッグサイズとなっています。防御火器もそこそこ充実しており、建設機械を持たず、陸上基地の建設が遅れがちな日本軍において便利に運用されました。東京の船の科学館にながく展示されていましたが、世界唯一の二式大艇ということで2003年に海上自衛隊鹿屋基地に移されています。モデルはLSが発売していたものでしたが、現在はアリイから出ています。箱は1/72航空機シリーズと同一で、どちらかとしたらモデルのサイズでシリーズ化しているのかもしれませんね。モデルとしてもビッグサイズで、運転会に持参すると、 1/144であることを知って驚かれる方も多数おられます。これだけ大きな機体を作れた日本の航空技術はかなり高いものではありましたが、マスプロする技術に劣っていたために敗北を喫したのでは？という感を強くさせられる機体です（まぁ敗因は色々あるけどね）。鹿屋で実物を見ましたが、多少塗装など異なるので気が向いたらタッチアップしようかと思う今日この頃。

F-4ファントム

世界中で5000機以上が製作され”永遠のベストセラー”とも言われる名戦闘機。拡張性の高い機体で、米国の陸海空三軍全てに採用された機体としても知られています。最初に落成したのが海軍の艦載用だったこともあり、全機体がアレスティングフックを持っています（地上に複数張られたワイヤーのうちの1本を引っ掛けて、それが運動エネルギーを吸収しながら繰り出され、急減速する。空母には必須の機構）。これは艦上用ではありますが、非常時に陸上基地でも使用することがあるためです。また、主翼の折畳み機構も存置されています。マイクロエースのキットですが、こちらもバリエーションが多数発売されており、自衛隊バージョンもファントムとファントムⅡがあります。一部を組み立ててから塗装し、その後エンジンのエアインテークをつけたのですが、これが合わなくて参りました。デカールや実物をよくよく見ますと、機首付近の上下寸法が足らず、塗装とデカールが輻輳しますが、それ以外の点ではまずまずのキットといえるでしょう。なぜか、尾翼の部隊マークのデカールが省略されています。

F-15戦闘機

高翼単葉のジェット戦闘機です。冷戦華やかなりし頃、西側陣営と東側陣営で高性能戦闘機がいたちごっこで登場し、冷戦最後の西側の切り札として登場したのがこの機体でした。その後Su-27フランカーがソ連から登場したところで冷戦が終結するのですが...。導入国は日本のほか、サウジとイスラエルがあり、韓国も導入する模様。戦闘機のロールスロイス、なんてあだ名まである高価な機体でもあります。モデルは童友社の現用機コレクションの一機体です。宮崎新田原基地に配属されている教導団、通称”アグレッサー”のものです。塗装済みの機体に塗装済みの垂直尾翼を接着します。その他未塗装の脚やミサイル、増槽タンクが付属。これらをそのままつけるのもあまりにさびしいのでサイドワインダーミサイルや脚などを白、タンクなどは明灰白色で塗装してあります。

いっちょんちょんの航空機たち

1/144航空機モデルの紹介