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IL-2 Sturmovik:1946(IL2:1946)について

IL-2 Sturmovik:1946パッケージ Ubisoft Entertainment販売、1C:Maddox Games開発の第2次世界大戦機フライトシミュレータIL-2シリーズの最新作です。というか、FB以降に公開されたIl-2シリーズのパッケージを統合して、更に新しい飛行機やマップを追加して1枚のDVDにまとめたものです。タイトル画面を見る限りでは、「IL2 STULMOVIK FORGOTTEN BATTLES」、「PACIFIC FIGHTERS」の2大タイトルと「ACE'S EXPANSION PACK」、「PE-2 PESHKA」、「STURMOVIKS OVER MANCHURIA」、「46」の各アドオンを統合したもののようです。

単体で前述の全てが統合されたシミュレータとして動作し、導入によりバージョンは4.07となります(ゲーム自体は、PFスタンドアロン、IL2+FB+AEPとは別の場所にインストールされます)。既にβ版の4.071のパッチが公開されています(管理人の環境では特に問題なく動作しています。このパッチを当てると紫電改の尾輪が機体に格納されるようになります)。

※2007.02.07に4.08mパッチがリリースされました。

そのタイトルから懸念される通り、ロシアとドイツの空の戦いが1946年まで続いていたら...というなんだか良く分からないコンセプトの飛行機がたくさん追加されています。当然ですが、ドイツの飛行機は計画段階の絵に描いた餅ばかりで、とても管理人にとって魅力のあるものではありません。

さらに、ロシア以外の連合国の飛行機はA-20Cのみの追加となり、これまた寂しいばかりです。

しかし、日本の飛行機では、九七式戦闘機甲、九七式戦闘機乙、隼II型、隼II型改、雷電三三型、紫電二一型甲(紫電改)と、なかなか魅力的な機体が追加されています。戦争末期の伝説となった紫電改と、最強をうたわれた九七式戦闘機を操縦できるというだけでも購入する価値があると思います。

管理人はキャンペーンやシングルミッションは全くやらないのでどうなっているのか全く分かりませんし、語る資格もありませんが、通信対戦でのゲーム性は全く変わりません(笑)。

また、ロシアのジェット機やドイツの計画機にも全く興味が無く見ていないので、それらについても語る資格がありません(笑笑)。まあ、日本の飛行機については一通り乗ってみました。

Ayahitoの操縦する紫電二一型甲 紫電改 まず最初に紫電改。今のところ一番長い時間乗っています(といってもまだ10時間に満たないと思いますが)。この飛行機の最大の売りは有名な自動空戦フラップですが、一応再現されていて自動で動きます。

実機の資料によると、この装置は速度による風圧(動圧)と機体にかかる荷重(G)により筒内の水銀を動かし、その水銀自体をスイッチの接点としてフラップの、上げ、停止、下げの3動作を自動的に行うというものだったようです。速度低下とG上昇がフラップを下げ、速度上昇とG低下がフラップを上げるように働き、フラップの展開角度がそのときの速度とGに対して揚抗比が最大(に近く)となるように調整されていました。また、メインスイッチがあって自動機能のオンオフができたようです。

IL2:1946の紫電改の自動空戦フラップはGのみに対応して動作しているようで、速度を落としていって失速速度付近になってもフラップが展開しません。その反対に、かなり高速でも旋回に入るとフラップが展開したりします。展開角度も1段階しかないようです(これはこのシミュレータの制限のようですが)。

というわけで残念ながら、すーっと速度を落としていくとフラップが勝手に出てきてなかなか愉快なものだったというテストパイロットの談話のようにはいきません。それでも、このような特殊な装置を模擬する処理を、わざわざ極東の一戦闘機のためだけに実装してくれた開発者の姿勢には拍手を送りたいです(このゲームの開発元は無料のパッチで何度もこのシミュレータで操縦可能な機種を増やしてくれています)。

自動空戦フラップと連動していたという腕比変更装置は再現されていないようです(もちろんフォースフィードバック式のジョイスティックでないと原理的に無理ですが;笑)。
紫電二一型甲 紫電改の操縦席 九七式戦闘機は固定ピッチプロペラです。定速プロペラの飛行機にばかり乗っていたので結構面食らいました。一度エースクラスのパイロットと同一機種で一騎打ちをしたことがあるという程度の飛行経験ですが、武装がへなちょこで相当撃たれても平気で飛んでいられました(笑)。その人の評価では、「複葉機にも勝てる」ということでした。

雷電三三型は、スーパーチャージャーが3速(実機はおそらく2速)です。別の方の話では高空性能が結構いいということですが、まだ飛行時間が短いのでよく分かりません。機種の肉削ぎとキャノピーが高くなった事による視界の改善もあまり感じません(笑)。

隼II型とII型改も少し乗っただけであまり良く分かりません。でもI型よりも外が見やすいような気がしますね。ただ、頭の真上にフレームがあるので格闘戦の時には邪魔かもしれません(キャノピーは開けられるので四式戦ほど苦にはならないかもしれませんね。四式戦もキャノピーが開けばなあといつも思います。ちなみに、雷電もキャノピーが開きません)。

IL2:1946では今までの機種と合わせると、日本の単発戦闘機については、海軍機は零戦一一型・二一型・三二型・五二型・五二型甲・五二型乙・五二型丙・六二型・六三型、二式水戦、雷電二一型・三三型、紫電二一型甲(紫電改)に乗ることができ、陸軍機は九七式戦甲・乙、隼I型甲・I型乙・I型丙・II型・II型改、飛燕I型甲・I型乙・I型丙、疾風I型甲・I型乙・I型丙、五式戦I型甲に乗ることができます。

正直なところ、これは相当量のラインナップと言えるでしょう(あと九六艦戦と二式単戦が欲しいというのは欲張りでしょうか?)。それぞれの再現性(というか存在感)も管理人の偏ったフライトシミュレータ遍歴の中では最高と断言できます。

ゲーム自体は最新というわけではありませんが、中から低高度にかけての海や川や森、雲や空気や光の雰囲気の表現はマイクロソフト社の最新のフライトシミュレーターXを凌いでいるのではないかとさえ思います(前々から言っている様に高高度の風景はいまひとつですが;笑)。

もしそこそこの性能のパソコンをお持ちであり、第二次世界大戦の戦闘機に興味があるなら安いジョイスティックと一緒に購入されてはいかがでしょうか。2007年2月2日には日本語マニュアル付き英語版というのも出るようです。

このゲームの飛行機を飛ばすのは結構難しいと言われていますが(管理人は特に他のシミュレータに比べて難しいとは思いませんが...)、このゲームの飛行機を飛ばしている時の気分は最高だと思います。
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