松下電器産業は17日、大阪市住之江区の関西電力の大阪発電所跡地に、リチウムイオン電池の新工場を建設する方針を明らかにした。投資金額は1千億円規模で、同社としては最大の生産拠点となる。新工場のフル稼働時には、松下の生産規模は世界シェア2位のソニーを抜き、首位の三洋電機に迫る見通しだ。
新工場は子会社の松下電池工業が建設する。月内にも正式決定し、10年度の稼働を目指す。松下のリチウムイオン電池の生産能力は現在、大阪府守口市や和歌山県紀の川市の工場など月産約2500万個。新工場で約3倍に膨らむ見通しだ。松下首脳は17日朝、「リチウムイオン電池の需要は拡大しているが、我々の生産能力は十分ではない。(新工場は)研究開発拠点のある守口に近いところがいい」と述べた。
リチウムイオン電池は世界シェアの7割程度を三洋電機、ソニー、松下の日本勢が占める(07年3月末)。充電して繰り返し使えるのが利点で、ノートパソコンや携帯電話向けに需要が増えている。今後も次世代ハイブリッド車向けなどの需要拡大が見込まれており、各社とも生産能力を増強している。
関電の大阪発電所は1959年から稼働していた火力発電所で、効率の低さから03年12月に廃止された。敷地面積は約24万平方メートル。跡地の一部はすでに、PDP(プラズマ・ディスプレー・パネル)用ガラス基板の加工工場として旭硝子に貸与しており、残りについても大阪府などと連携して工場誘致を進めていた。