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「ビラ配布有罪」判決を下した最高裁判事たち

田中良太2008/04/15
日本 裁判 NA_テーマ2

目 次
 (P.1) あまりにおかしな判決
 (P.2) 津野、中川裁判官の略歴
 (P.3) 島田、古田裁判官の略歴
 (P.4) 小泉内閣がつくった現最高裁


◆島田、古田裁判官の略歴
 以上の3人は、判決文の最後に「署名」がある。しかし第2小法廷所属の判事はほかに2人、島田仁郎氏(最高裁長官)と古田佑紀氏がいる。島田長官と古田氏についても、最高裁HPの内容を以下にUPしておこう。ただしこの2人については「田中評」はやめておく。


 最高裁判所長官
島田仁郎(しまだにろう=昭和13年11月22日生)
 略歴

昭和37年 東京大学法学部卒業 
昭和37年 司法修習生 
昭和39年 判事補任官
その後、東京地裁、名古屋地・家裁、最高裁刑事局で勤務
(43年ロンドン大学M.Phil)  
昭和49年 大阪地裁判事 
昭和52年 司法研修所教官 
昭和56年 東京地裁判事  
昭和57年 最高裁調査官 
昭和58年 最高裁刑事局第1課長兼第3課長 
昭和61年 東京地裁判事部総括 
平成元年 最高裁刑事局長兼図書館長 
平成 6年 宇都宮地裁所長 
平成 8年 浦和地裁所長 
平成10年 東京高裁判事部総括 
平成11年 司法研修所長 
平成13年 仙台高裁長官 
平成14年 大阪高裁長官 
平成14年11月 7日 最高裁判所判事 
平成18年10月16日 最高裁判所長官 

(信条、趣味など)

◇裁判官としての心構え
 私は、裁判官に任官して以来、おそるおそる裁判に臨むという初心を貫いてきたつもりですが、年を経るにつれてますます、人が人を裁くことの重さを深く感ずるようになりました。今は最終審としての判断を示すのだと思うと、責任の重さに身の引き締まる思いがしています。最高裁においても、目指すのは一、二審と同様に適正迅速な裁判の実現であり、そのための努力を重ねていこうと思います。

◇好きな言葉
 座右の銘は、「和して同ぜず」です。
 現在、さまざまな分野から来られた経験豊富で優れた同僚判事と、事件の審理などで意見交換し合う機会に恵まれ、啓発されることが多く、楽しく充実した議論をしていますが、その際にはいつも、この言葉を念じることにしています。

◇趣味
 趣味は、読書と囲碁です。
 読書は、とくにジャンルを問わず、濫読する方です。好きな作家はたくさんおりますが、中でもトルストイ、ドストエフスキー、井上靖、山本周五郎などの本は繰り返し読んでいます。愛読書をあげるなら、上記各作家の「復活」、「罪と罰」、「明日来る人」、「さぶ」などです。


 判事
古田佑紀(ふるたゆうき=昭和17年4月8日生)
 略歴

昭和42年 東京大学法学部卒業 
昭和42年 司法修習生 
昭和44年 検事任官
その後、東京地検、法務省刑事局、札幌地検、名古屋地検、浦和地検川越支部、法務省刑事局で勤務  
昭和59年 法務省刑事局参事官 
昭和62年 東京地検検事 
平成 2年 法務省刑事局青少年課長 
平成 3年 法務省刑事局国際課長 
平成 5年 法務大臣官房審議官(刑事局担当) 
平成10年 宇都宮地検検事正 
平成11年 最高検検事 
平成11年 法務省刑事局長 
平成14年 最高検刑事部長 
平成15年 最高検次長検事 
平成16年 退官 
平成17年 同志社大学法科大学院教授 
平成17年8月2日 最高裁判所判事 
 

(信条、趣味など)

◇裁判官としての心構え
 最高裁判事の責任の重大さを痛感しております。考え方や利害が多様になるとともに変化の激しい時代を迎えて司法的解決の重要性が高まっておりますが、虚心に関係者の話を聞き、事実を踏まえて法律に則り公正、妥当な判断をするという法律家としての基本的心構えを堅持し、一つ一つの事件の事案に即した適切な解決を通じて法の適正な実現に努めたいと考えております。

◇好きな言葉
 深い味わいを持つ言葉に多く出会いました。あえて一つを挙げれば「目の梁(うつばり)を取れ」です。 固定観念にとらわれずに素直にものを見て自分の頭で考えること、自分の考えが一面的にならないように鏡になってくれる人をできるだけ多く持つことを心がけてきました。もっとも、後の方については裁判ではもっぱら訴訟手続の中で判断しなければなりませんが、その精神は持ち続けたいと思っております。

◇印象に残った本
 これまで多くの印象に残る本に接しましたが、古典といわれるものを除けば、塩野七生さんの「海の都の物語−ヴェネツィア共和国の一千年」などのローマに関する著述、柳田邦男さんの「マッハの恐怖」などの最新の科学技術をめぐる問題に関する著述などがあります。

◇趣味
 取り立てて申し上げるほどのものはありませんが、自然科学や歴史に関する本などを中心に、関心を持った分野の本をその都度集中的に読んでおります。

ご意見板

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[33887] 妄想も大概に
名前:佐藤折耶
日時:2008/04/22 14:53
>だから立入禁止の場所から出ていかない人が住居侵入罪で逮捕されたんですね。<


忍野さんがお暮らしの妄想の国の事はよくわかりませんが、少なくとも日本国の立川ビラ事件判決では、そもそも不退去行為は一切認定されておらず、問題になっていません。


判決は、住居侵入行為と不退去行為を共に認定した上で住居侵入罪を認めたのではなく、単に共有部分への進入行為のみを問題にして住居侵入罪を認定しています。不退去行為については、判決は一切認定していません。当然、住居侵入罪における前提行為になっていません。


判決すら読まずに(読めずに?)、何を言っているのですか?


再度訂正するしかないと思いますが、ここまでひどいと、訂正しようがないでしょうね。恥の感覚をお持ちなら、ですが。
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[33881] 訂正
名前:忍野タカユキ
日時:2008/04/22 09:32
『以前に「出て行け」に従わなかったから、次に進入したとき住居侵入罪で即逮捕したんじゃないの。』は間違いでした。
住居侵入罪と不退去罪を連続で犯した場合は住居侵入罪だけが成立するんですね。だから立入禁止の場所から出ていかない人が住居侵入罪で逮捕されたんですね。
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[33880] 何度話しても、議論にならない
名前:佐藤折耶
日時:2008/04/22 08:27
なんか、何とかに念仏になってますね。


>以前に「出て行け」に従わなかったから、次に進入したときに住居侵入罪で即逮捕したんじゃないの。そしたら今度は即逮捕を問題としている。<


自分で何を言っているかわかってないでしょ。


これでは、以前拾ったものを着服したからといって、今度はしてもいない窃盗の罪で逮捕したというような話ですよ?不退去罪を問題にすべきなのに、より広い射程を持つ別の罪での別件逮捕じゃないですか。こんな認識で警備してましたなんて、ほんとうに困ったものだ。


あと、全体主義というのは、究極の利己主義ですよ?今日、全体主義の代表人物の一人は、まぎれもなく金正日ですが、まさに自己の欲望により他人を不当に支配しています。事実、本件も、本来処罰に値しない単なる不快感を理由に、国家の力を使って処罰まで与えようというのですから、究極の利己主義者じゃないですか。まさに自由主義の敵以外のなにものでもありません。


あ、そうそう。前回のコメントですが、ここに一番重要な真実が露呈しています。


>そもそもビラの内容が全然違うし。 <


この一言でわかるように、忍野さんは、実際は、住居侵入の態様という行為形式ではなく、ビラの内容という表現内容により、住居侵入罪の適用の可否を決めている訳です。


勿論警察・検察・最高裁は、さすがにこんなことは表向き口が裂けても言いませんが、これこそまさに今回の摘発・判決のホンネが出ていると言っていいでしょう。


先に伊藤さんが、「ビラ配りそのものが罰せられたわけではなく、住居侵入が罰せられた事件です。判決をよく読まれるべきだと思います。 」と言っていますが、ま、そんなものを文字通り信じる馬鹿は、実際には殆どいません。

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[33879] 利己主義者よりまし
名前:忍野タカユキ
日時:2008/04/22 03:44
以前に「出て行け」に従わなかったから、次に進入したときに住居侵入罪で即逮捕したんじゃないの。そしたら今度は即逮捕を問題としている。

で、重要なビラ配りをするのに敷地外や立入可・投函可の建物だけじゃ満足できないのは何故なの?

子どもの家猫探しのビラ配りの立ち入りを許したら全てのビラ配りの立ち入りを認めなくちゃいけないのか・・・。
逆に、歓迎しないビラ配りの立ち入りを禁止したら子どもの家猫探しのビラ配りの立ち入りまで禁止しなくちゃいけないのか・・・。
住民の相手によっての可否の判断を自治・管理に活かすと全体主義者にされるのなら不本意だけどその称号を受け入れます。住民の迷惑を無視して進入する側の都合しか尊重しない利己主義者よりましだもの。
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[33878] 補足
名前:佐藤折耶
日時:2008/04/22 02:09
「但し、刑事未成年は、原則的には、責任阻却されることで刑事責任は問われないことが多いというだけです。」


は、


「但し、未成年の場合、年齢に応じ、原則的に責任が阻却されることで、刑事責任が軽減されることが多いというだけです。」


にします。
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[33877] 無知と全体主義 鶏か卵か
名前:佐藤折耶
日時:2008/04/22 01:54
>「敷地内から出て行けという管理者の指示には従わない!」と居直る。 <


やれやれ、「出て行け」というのは不退去罪の話で、住居侵入罪とは全く別の話ですよ?不退去罪の問題を、住居侵入罪で解決しようとするのは、言うまでもなく完全に不当な拡大適用で全くの間違いです。


それにしても、忍野さんは、いつもながら、法というものが全くわかってないですね。


子どもが人を殺しても、殺人は殺人です。殺人罪も住居侵入罪も、基本的には年齢に関係なく既遂となります。但し、刑事未成年は、原則的には、責任阻却されることで刑事責任は問われないことが多いというだけです。


しかも、言うまでもなく犯罪行為を知っていて見逃すというのは、法治国家では原則的に許されません。大人げないなどというのは、全く関係ない論外な話です。


忍野さんの言っているのは、要するに、「法の網を広くとって、あとは恣意的に適用すべきだ」という、近代国家にあるまじきものなんですよ。


要するに、そもそも実質的な共有空間に平穏に進入することは、こどもだろうが大人だろうが、基本的に犯罪ではないのです。それだけのことです。それを無理に犯罪にしようとするから、こどもなら見逃せという、トンデモを言うしかなくなる。


それが「こどものビラ貼り」という事例が出されると簡単に露呈してしまうわけです。


***


ビラ配りが重要なのは、政治的表現を目指す相手に伝える行為だからですよ。そしてこれは、近代社会では、人権中でも最重要なもの一つとされています。じゃなきゃ、アムネスティが良心の囚人などに認定する筈もないのです。


要するに、忍野さんのお考えは、いつもながら、まともな近代社会・近代法とは完全に相反するものだということです。


****


つまるところ、恣意的な法の適用を礼賛し、反政府的政治表現だけを取り締まっている実態には目をつぶる。


ほんとうに筋金入りの全体主義者だとつくづくよくわかります。
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[33876] Re:[33860] 自由主義の危機
名前:忍野タカユキ
日時:2008/04/22 01:11
家猫を探していますと子どもがビラを配ったら管理者の意志次第で立派な犯罪者になり得るとしても、子どもに対してはそういう意志決定しないでしょう。
子どもを犯罪者にしなかった管理者の決定に対して「私たちは逮捕されたんだからあの子どもも同じように逮捕しろ。」って抗議しますか?怖ろしい人ですね。
逆に「あの子を逮捕しないなら私たちも同じ扱いにしろ。」って抗議しますか?子どもの行為を引き合いに出して大人も同じに扱えっていうのも大人気無いですね。そもそもビラの内容が全然違うし。

「米軍・自衛隊はイラクから出て行け〜!」とビラを配り「敷地内から出て行けという管理者の指示には従わない!」と居直る。
???わからん・・・敷地外や立入可・投函可の建物でのビラ配りだけじゃ満足できませんか。何で立入禁止の敷地内への進入にこだわるんでしょうか。
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[33861] 現行犯逮捕
名前:佐藤折耶
日時:2008/04/21 06:43
なお、逮捕権に関しては、現行犯であれば一般人でも逮捕できます。


しかし、猫を探しているとビラを配っているだけの子どもを、住民が逮捕できる社会でいいんですか?


その方がずっと怖い社会であることは、明々白々ではないですか。
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[33860] 自由主義の危機
名前:佐藤折耶
日時:2008/04/21 06:37
繰り返しますが、実質的に出入り自由の場所に平穏に入った場合、そもそもそれは犯罪ではありません。


客観的には住居者の平穏はなんら侵されておらず、ビラを受け取ることで感じる管理者の不快感などは、刑事罰での保護に値する法益とはとても考えられないからです。


それは、家猫を探していますと子どもがビラを配っても、この判決では、管理者の意思次第でその子は立派な犯罪者になりえることからも明らかでしょう。


単なる文書を受け取る不快感が、刑事的保護に値しないのは、ダイレクトメール、スパムメールを受け取った不快感が、刑事的保護に値しないと考えられていることと一緒です。


従って、集合住宅の自治などというものとは全く関係ありません。


**


しかも、恣意的な運用により、政治的表現の自由、特に政府批判表現への恣意的な摘発となっているのも、明々白々であり、実質的に権力による恣意的な政治活動への弾圧となっています。これは、自由主義国家では到底認められることではありません。


それは、逮捕・取り調べを行ったのが刑事部門ではなく公安部門であったことからも、これを強く裏付けています。


まともな知性があれば、これは明白という以外ないことです。だからこそ、アムネスティにより、言論や思想を理由に不当に逮捕された良心の囚人として認定されたのです。これは非常に重いことです。


彼らは思想・言論を理由に罪なくして弾圧されたのであり、まさに不当そのもので、この国の自由主義は危機に瀕しているという以外ありません。
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[33858] 警察OBって何ですか?
名前:忍野タカユキ
日時:2008/04/21 03:19
“住居侵入で逮捕”に批判的な人達って対警察の一環として批判してたんですか?お門違いも甚だしい。
自治組合・管理組合の指示に従わないから逮捕されることもあると説明しているんです。
住人・管理人には逮捕権がないので警察に通報して、最終的に警察に逮捕を依頼しているだけです。
市民(住人)で構成されている自治・管理組合相手にやり合う覚悟があるんですか?

『共有部分』を勘違いして公道と同一視している人もいるようですね。
集合住宅の『共有部分』は住民にとっての『共有部分』です。部屋の前の廊下でも私物の物置や駐輪などの私的占有はできない住民共有の空間だということです。そのかわり『共有部分』の管理や修繕は個人に負担させることなく管理費等で賄いますということです。
住民以外は『共有部分』だろうが敷地内に自由に出入りできる権利は基本的にありません。後はそれぞれの集合住宅の自治・管理組合の判断です。それぞれの組合の指示に従ってもらうしかありません。
それぞれの組合の判断にばらつきがあるグレーゾーンを問題視するならどうすれば良いんですか?
しかるべき権限のある団体の指示に合わせて全国統一の判断基準を各自治・管理組合に押し付けるんですか。
その方が自治権を侵害する全体主義だと思いますけど。

警察・司法を批判するなら住居侵入罪での逮捕は認めたうえで「だが、それを理由に2ヶ月近くの拘留は不当ではないのか」でしょう。
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