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「ビラ配布有罪」判決を下した最高裁判事たち

田中良太2008/04/15
日本 裁判 NA_テーマ2

目 次
 (P.1) あまりにおかしな判決
 (P.2) 津野、中川裁判官の略歴
 (P.3) 島田、古田裁判官の略歴
 (P.4) 小泉内閣がつくった現最高裁


◆津野、中川裁判官の略歴
[裁判官]津野 修(つの・おさむ=昭和13年10月20日生)
  略歴
昭和36年 国家公務員採用上級試験合格 
昭和36年 司法試験第2次試験合格 
昭和37年 京都大学法学部卒業 
昭和37年 大蔵省入省 
昭和42年 行橋税務署長 
昭和46年 日本貿易振興会フランクフルト事務所駐在員 
昭和53年 内閣法制局参事官(第3部) 
昭和58年 大蔵省主税局税制第3課長 
昭和60年 福岡財務支局長 
昭和61年 内閣法制局第3部長 
平成 4年 内閣法制局第1部長 
平成 8年 内閣法制局次長 
平成11年 内閣法制局長官(14年退官) 
平成15年 弁護士登録(第1東京弁護士会所属)
平成16年 2月26日 最高裁判所判事 
(信条、趣味など)

◇裁判官としての心構え
 三権分立の一つの柱である司法権を担う裁判所の中でも、その最終審という重要な役割を果たす最高裁判所の裁判官として、その責任の重大性をしっかり自覚して、公平、公正を旨とする裁判の実現に誠心誠意努力したいと思います。
 また、個々の具体的事件に即した適正妥当な判断が重要だと思いますが、大局的観点からの判断も見失わないように留意していきたいと思っています。

◇好きな言葉
 好きな言葉としては、「この道より我を生かす道なし、この道を歩く」という言葉があります。過去色々な仕事に就いてきましたが、どのような仕事に就いても、この言葉を思い出して励んできました。また、色々な困難にぶつかったときは、「待てば海路の日和あり」と焦らず、余裕を持つことが大切だと思っています。

◇印象に残った本
 「陶淵明伝」(吉川幸次郎著)には、大変感銘を受けましたが、最近読んだ本では、宮城谷昌光著の「花の歳月」「孟嘗君」などが面白かったと思います。
 他に、「現代俳句」(山本健吉著)は、どこから開いて読んでもよく、睡眠薬代わりにベッドで読んでいます。

◇趣味
 趣味は、ガーデニング(花作り)、ゴルフ、囲碁などです。花作りは、狭い庭にパンジー、チューリップ、ペチュニア、エンジェルス・トランペット、バラ、椿、牡丹、藤など四季折々の草花や花木を植えて楽しんでいます。

 ゴルフは、ハンディ33というビギナー並の腕ですが、ストレス発散と健康のためにと思ってしています。ただ、仲々ストレス発散にならなくて、逆にストレスがたまることがしばしばあります。

◇その他
 戦後約半世紀、最近までの日本は比較的恵まれた時代を過ごすことができました。現在、我が国の政治、経済、社会等を取り巻く情勢は、国際化、情報化などの大きな変革の波に洗われています。政治改革、行政改革とともに司法制度改革も避けて通れません。より良き司法制度改革を目指して、国民の理解と法曹関係者の協力が不可欠です。そのため、私もできる限りの努力をしなければと思っています。


 ●田中評=大蔵省に入った官僚。「主計にあらずば人にあらず」時代だったのに、主計局に行けず、傍流となった。内閣法制局から「将来の長官候補だから」ともらいがかかり、大歓迎と飛びついたのではないか。法制局長官だけでなく、最高裁判事という最高の天下り(天上がり?)ポストにまで恵まれたのだから、たいへんハッピーだろう。

 趣味の広さに注目。キャリア官僚は基本的にヒマだから、時間つぶしの趣味を持っている必要がある。ガーデニング、ゴルフ、碁の共通点は、いずれも時間がかかること。こうした趣味で時間を稼ぎながら待てば、「海路の日和あり」ということになるわけだ。趣味と処世訓が良くマッチしていますネ。


[裁判官]中川了滋(なかがわりょうじ=昭和14年12月23日生)
   略歴
昭和37年 金沢大学法文学部卒業 
昭和37年 司法修習生 
昭和39年 弁護士登録(第一東京弁護士会) 
昭和61年 第一東京弁護士会副会長・日本弁護士連合会常務理事  
昭和63年 日本弁護士連合会機構改革委員会副委員長 
平成 4年 日本弁護士連合会弁護士推薦委員会副委員長 
平成 9年 第一東京弁護士会会長・日本弁護士連合会副会長 
平成17年1月19日 最高裁判所判事 

(信条、趣味など)

◇裁判官としての心構え
 憲法と法律に従いつつ、具体的妥当性のある判断を得るために、謙虚に且つ冷静に職務に取り組む姿勢を保つ。

◇好きな言葉
 「近き者説(よろこ)び、遠き者来る」

◇印象に残った本
 「孔子」 井上 靖(著)
 「バブルの物語」 ジョン・K・ガルブレイス(著)
 「ローマ人の物語」 塩野七生(著)

◇趣味
 札所巡り、端唄、社交ダンス

 ●田中評=弁護士の世界で、弁護士会の役職を積極的に引き受ける人がいる。その人たちの最終目標は日弁連会長か、最高裁判事。その目標を達成したのだから、弁護士の世界での遊泳術に優れていたのだろう。この人の趣味「札所巡り、端唄、社交ダンス」が、21世紀のお大尽遊びなのだろうか?
 

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[33887] 妄想も大概に
名前:佐藤折耶
日時:2008/04/22 14:53
>だから立入禁止の場所から出ていかない人が住居侵入罪で逮捕されたんですね。<


忍野さんがお暮らしの妄想の国の事はよくわかりませんが、少なくとも日本国の立川ビラ事件判決では、そもそも不退去行為は一切認定されておらず、問題になっていません。


判決は、住居侵入行為と不退去行為を共に認定した上で住居侵入罪を認めたのではなく、単に共有部分への進入行為のみを問題にして住居侵入罪を認定しています。不退去行為については、判決は一切認定していません。当然、住居侵入罪における前提行為になっていません。


判決すら読まずに(読めずに?)、何を言っているのですか?


再度訂正するしかないと思いますが、ここまでひどいと、訂正しようがないでしょうね。恥の感覚をお持ちなら、ですが。
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[33881] 訂正
名前:忍野タカユキ
日時:2008/04/22 09:32
『以前に「出て行け」に従わなかったから、次に進入したとき住居侵入罪で即逮捕したんじゃないの。』は間違いでした。
住居侵入罪と不退去罪を連続で犯した場合は住居侵入罪だけが成立するんですね。だから立入禁止の場所から出ていかない人が住居侵入罪で逮捕されたんですね。
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[33880] 何度話しても、議論にならない
名前:佐藤折耶
日時:2008/04/22 08:27
なんか、何とかに念仏になってますね。


>以前に「出て行け」に従わなかったから、次に進入したときに住居侵入罪で即逮捕したんじゃないの。そしたら今度は即逮捕を問題としている。<


自分で何を言っているかわかってないでしょ。


これでは、以前拾ったものを着服したからといって、今度はしてもいない窃盗の罪で逮捕したというような話ですよ?不退去罪を問題にすべきなのに、より広い射程を持つ別の罪での別件逮捕じゃないですか。こんな認識で警備してましたなんて、ほんとうに困ったものだ。


あと、全体主義というのは、究極の利己主義ですよ?今日、全体主義の代表人物の一人は、まぎれもなく金正日ですが、まさに自己の欲望により他人を不当に支配しています。事実、本件も、本来処罰に値しない単なる不快感を理由に、国家の力を使って処罰まで与えようというのですから、究極の利己主義者じゃないですか。まさに自由主義の敵以外のなにものでもありません。


あ、そうそう。前回のコメントですが、ここに一番重要な真実が露呈しています。


>そもそもビラの内容が全然違うし。 <


この一言でわかるように、忍野さんは、実際は、住居侵入の態様という行為形式ではなく、ビラの内容という表現内容により、住居侵入罪の適用の可否を決めている訳です。


勿論警察・検察・最高裁は、さすがにこんなことは表向き口が裂けても言いませんが、これこそまさに今回の摘発・判決のホンネが出ていると言っていいでしょう。


先に伊藤さんが、「ビラ配りそのものが罰せられたわけではなく、住居侵入が罰せられた事件です。判決をよく読まれるべきだと思います。 」と言っていますが、ま、そんなものを文字通り信じる馬鹿は、実際には殆どいません。

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[33879] 利己主義者よりまし
名前:忍野タカユキ
日時:2008/04/22 03:44
以前に「出て行け」に従わなかったから、次に進入したときに住居侵入罪で即逮捕したんじゃないの。そしたら今度は即逮捕を問題としている。

で、重要なビラ配りをするのに敷地外や立入可・投函可の建物だけじゃ満足できないのは何故なの?

子どもの家猫探しのビラ配りの立ち入りを許したら全てのビラ配りの立ち入りを認めなくちゃいけないのか・・・。
逆に、歓迎しないビラ配りの立ち入りを禁止したら子どもの家猫探しのビラ配りの立ち入りまで禁止しなくちゃいけないのか・・・。
住民の相手によっての可否の判断を自治・管理に活かすと全体主義者にされるのなら不本意だけどその称号を受け入れます。住民の迷惑を無視して進入する側の都合しか尊重しない利己主義者よりましだもの。
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[33878] 補足
名前:佐藤折耶
日時:2008/04/22 02:09
「但し、刑事未成年は、原則的には、責任阻却されることで刑事責任は問われないことが多いというだけです。」


は、


「但し、未成年の場合、年齢に応じ、原則的に責任が阻却されることで、刑事責任が軽減されることが多いというだけです。」


にします。
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[33877] 無知と全体主義 鶏か卵か
名前:佐藤折耶
日時:2008/04/22 01:54
>「敷地内から出て行けという管理者の指示には従わない!」と居直る。 <


やれやれ、「出て行け」というのは不退去罪の話で、住居侵入罪とは全く別の話ですよ?不退去罪の問題を、住居侵入罪で解決しようとするのは、言うまでもなく完全に不当な拡大適用で全くの間違いです。


それにしても、忍野さんは、いつもながら、法というものが全くわかってないですね。


子どもが人を殺しても、殺人は殺人です。殺人罪も住居侵入罪も、基本的には年齢に関係なく既遂となります。但し、刑事未成年は、原則的には、責任阻却されることで刑事責任は問われないことが多いというだけです。


しかも、言うまでもなく犯罪行為を知っていて見逃すというのは、法治国家では原則的に許されません。大人げないなどというのは、全く関係ない論外な話です。


忍野さんの言っているのは、要するに、「法の網を広くとって、あとは恣意的に適用すべきだ」という、近代国家にあるまじきものなんですよ。


要するに、そもそも実質的な共有空間に平穏に進入することは、こどもだろうが大人だろうが、基本的に犯罪ではないのです。それだけのことです。それを無理に犯罪にしようとするから、こどもなら見逃せという、トンデモを言うしかなくなる。


それが「こどものビラ貼り」という事例が出されると簡単に露呈してしまうわけです。


***


ビラ配りが重要なのは、政治的表現を目指す相手に伝える行為だからですよ。そしてこれは、近代社会では、人権中でも最重要なもの一つとされています。じゃなきゃ、アムネスティが良心の囚人などに認定する筈もないのです。


要するに、忍野さんのお考えは、いつもながら、まともな近代社会・近代法とは完全に相反するものだということです。


****


つまるところ、恣意的な法の適用を礼賛し、反政府的政治表現だけを取り締まっている実態には目をつぶる。


ほんとうに筋金入りの全体主義者だとつくづくよくわかります。
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[33876] Re:[33860] 自由主義の危機
名前:忍野タカユキ
日時:2008/04/22 01:11
家猫を探していますと子どもがビラを配ったら管理者の意志次第で立派な犯罪者になり得るとしても、子どもに対してはそういう意志決定しないでしょう。
子どもを犯罪者にしなかった管理者の決定に対して「私たちは逮捕されたんだからあの子どもも同じように逮捕しろ。」って抗議しますか?怖ろしい人ですね。
逆に「あの子を逮捕しないなら私たちも同じ扱いにしろ。」って抗議しますか?子どもの行為を引き合いに出して大人も同じに扱えっていうのも大人気無いですね。そもそもビラの内容が全然違うし。

「米軍・自衛隊はイラクから出て行け〜!」とビラを配り「敷地内から出て行けという管理者の指示には従わない!」と居直る。
???わからん・・・敷地外や立入可・投函可の建物でのビラ配りだけじゃ満足できませんか。何で立入禁止の敷地内への進入にこだわるんでしょうか。
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[33861] 現行犯逮捕
名前:佐藤折耶
日時:2008/04/21 06:43
なお、逮捕権に関しては、現行犯であれば一般人でも逮捕できます。


しかし、猫を探しているとビラを配っているだけの子どもを、住民が逮捕できる社会でいいんですか?


その方がずっと怖い社会であることは、明々白々ではないですか。
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[33860] 自由主義の危機
名前:佐藤折耶
日時:2008/04/21 06:37
繰り返しますが、実質的に出入り自由の場所に平穏に入った場合、そもそもそれは犯罪ではありません。


客観的には住居者の平穏はなんら侵されておらず、ビラを受け取ることで感じる管理者の不快感などは、刑事罰での保護に値する法益とはとても考えられないからです。


それは、家猫を探していますと子どもがビラを配っても、この判決では、管理者の意思次第でその子は立派な犯罪者になりえることからも明らかでしょう。


単なる文書を受け取る不快感が、刑事的保護に値しないのは、ダイレクトメール、スパムメールを受け取った不快感が、刑事的保護に値しないと考えられていることと一緒です。


従って、集合住宅の自治などというものとは全く関係ありません。


**


しかも、恣意的な運用により、政治的表現の自由、特に政府批判表現への恣意的な摘発となっているのも、明々白々であり、実質的に権力による恣意的な政治活動への弾圧となっています。これは、自由主義国家では到底認められることではありません。


それは、逮捕・取り調べを行ったのが刑事部門ではなく公安部門であったことからも、これを強く裏付けています。


まともな知性があれば、これは明白という以外ないことです。だからこそ、アムネスティにより、言論や思想を理由に不当に逮捕された良心の囚人として認定されたのです。これは非常に重いことです。


彼らは思想・言論を理由に罪なくして弾圧されたのであり、まさに不当そのもので、この国の自由主義は危機に瀕しているという以外ありません。
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[33858] 警察OBって何ですか?
名前:忍野タカユキ
日時:2008/04/21 03:19
“住居侵入で逮捕”に批判的な人達って対警察の一環として批判してたんですか?お門違いも甚だしい。
自治組合・管理組合の指示に従わないから逮捕されることもあると説明しているんです。
住人・管理人には逮捕権がないので警察に通報して、最終的に警察に逮捕を依頼しているだけです。
市民(住人)で構成されている自治・管理組合相手にやり合う覚悟があるんですか?

『共有部分』を勘違いして公道と同一視している人もいるようですね。
集合住宅の『共有部分』は住民にとっての『共有部分』です。部屋の前の廊下でも私物の物置や駐輪などの私的占有はできない住民共有の空間だということです。そのかわり『共有部分』の管理や修繕は個人に負担させることなく管理費等で賄いますということです。
住民以外は『共有部分』だろうが敷地内に自由に出入りできる権利は基本的にありません。後はそれぞれの集合住宅の自治・管理組合の判断です。それぞれの組合の指示に従ってもらうしかありません。
それぞれの組合の判断にばらつきがあるグレーゾーンを問題視するならどうすれば良いんですか?
しかるべき権限のある団体の指示に合わせて全国統一の判断基準を各自治・管理組合に押し付けるんですか。
その方が自治権を侵害する全体主義だと思いますけど。

警察・司法を批判するなら住居侵入罪での逮捕は認めたうえで「だが、それを理由に2ヶ月近くの拘留は不当ではないのか」でしょう。
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