ビラを集合住宅で配ると住居侵入罪で有罪というバカバカしすぎる判決が最高裁で言い渡された。この3人の裁判官を初め、現在の最高裁は小泉内閣人事によってつくられている。「栄光のポストに任命してくれた小泉内閣批判のビラなど、とんでもない、という心情にもとづく判決だ」と批判して、「げすの勘ぐり」と否定しきれるだろうか。
目 次
(P.1) あまりにおかしな判決
(P.2)
津野、中川裁判官の略歴
(P.3)
島田、古田裁判官の略歴
(P.4)
小泉内閣がつくった現最高裁
◆あまりにおかしな判決
集合住宅でビラを配布すれば住居侵入罪(刑法130条)に問われ有罪というバカバカしすぎる判決が11日、最高裁第2小法廷によって言い渡された。
東京都立川市の自衛隊官舎で自衛隊イラク派遣に反対するビラを配った3人が住居侵入罪に問われた事件で、警察・検察による逮捕・起訴は、憲法で保障された表現の自由を侵害するものだと主張していた被告3人の上告を棄却したのである。
第2小法廷の判決によると「官舎の管理者の意思に反して立ち入れば、住民の私生活の平穏を侵害する」のだそうだ。また集合住宅でのビラ配りを住居侵入罪に問うことは、「表現の自由」に反しない、というのである。
◆一審無罪判決の論理
一審の東京地裁八王子支部判決は、3人が官舎の敷地内に入ったことは、住居侵入罪の構成要件に該当すると判断した。しかしビラを投函する行為について、「憲法21条1項が保障する政治的表現活動の一態様であり、民主主義社会の根幹を成すもの」と認定。被告と同様、官舎内に無断で立ち入る商業的宣伝ビラの投函が放置されている事実も指摘して、被告に刑事責任を問うのは「同条の趣旨に照らして疑問の余地が残る」などと述べた。
これに対して二審東京高裁判決は、官舎の住民たちが受けた「被害」は無視できないなどと主張。「表現の自由」を軽視した形で有罪判決を下した。
最高裁第2小法廷判決も、それを是認した。そのこと自体おかしいのだが、このような「問題判決」の場合、これまでの例では少数意見がついていたと記憶する。今回の場合、判決文の最後に付されている裁判官名は3人だけとはいえ、少数意見なしの全員一致となっている。こんな判決で一致した裁判官の「素性」が知りたくなった。
◆最高裁ホームページに判事の人物紹介
最高裁のホームページにアクセスすると、今回の判決全文もダウンロード可能だし、判事の人物像も出てくる。
とりあえず今回の判決を下した第2小法廷の3判事の略歴を引っ張り出してみた。
[裁判長]今井 功(いまい いさお=昭和14年12月26日生)
略歴
昭和37年 京都大学法学部卒業
昭和37年 司法修習生
昭和39年 判事補任官
その後、東京地・家裁、最高裁総務局、函館地・家裁で勤務
昭和48年 最高裁調査官
昭和51年 最高裁民事局第二課長
昭和55年 同局第一課長兼第三課長
昭和57年 東京地裁判事
昭和59年 東京地裁判事部総括
昭和62年 東京高裁事務局長
平成 2年 最高裁民事局長兼行政局長
平成 6年 前橋地裁所長
平成 8年 東京高裁判事部総括
平成10年 最高裁首席調査官
平成14年 仙台高裁長官
平成14年 東京高裁長官
平成16年12月27日 最高裁判所判事
(信条、趣味など)
◇裁判官としての心構え
裁判所の使命は、裁判所に提起された事件を適正かつ迅速に解決することにつきるのでありますが、1件1件の事件を大切にし、当事者の訴えに虚心に耳を傾け、これに真正面から立ち向かうことを心掛けています。特に最高裁判所の判断は、事件についての最終的な判断であり、その影響も大きいので、その職責の重要性を自覚しつつ、最善の解決が図れるよう全力を尽くしたいと考えております。
◇好きな言葉
好きな言葉は、「眼は高く、手は低く」です。常に高い理想を目指しつつ、日常の仕事を一つ一つ着実に行うことが大切であると、高校時代の恩師に教えられました。
◇印象に残った本
いろいろな分野の先人の伝記を読むことが好きですが、かなり前に読んだ阿川弘之著「井上成美」などが心に残っています。
◇趣味
水泳(自己流のクロール)、囲碁、街を散歩すること。
◇その他
21世紀にふさわしい司法制度の構築を目指した司法制度の改革が着実に実行されておりますが、司法が国民に身近で、より頼り甲斐のあるものとなるよう自分なりに努めたいと思っています。
●田中評=判事補のころの函館勤務と、地裁所長の前橋、高裁長官の仙台以外、地方勤務はなく、ずっと東京に居座っている。巨大な官僚組織・最高裁のエリートなんだろう。「当事者の訴えに虚心に耳を傾け」とは、聞いてあきれる。「法律の専門家である検察官の言い分は信用できるが、その他の人間はウソばかり言うのだから信用できない。雑音には耳を貸さず」と書くべきだ。そういう姿勢でなければエリートコースをばく進することはできない。